日々のことば(ブログ)

✍️国家公務員「自営兼業」解禁の全体像|2026年4月新ルールの承認基準・必要書類・NG例・罰則まで

おはよう。「国家公務員は副業できない」──この常識が、いよいよ現実的に更新される局面に入った。人事院は、国家公務員が自己実現や社会課題の解決につながる自営兼業(自ら営利事業を営む兼業)を行うことが、職員の自律的なキャリア形成やモチベーションの向上を通じて、本業にも好影響を与え得る、と位置づけている。あわせて、兼業を認めることが採用や離職防止に好影響を与え得ることにも触れ、人材確保の観点からも有益だ、という方向性を明確にした。

「国家公務員が自営で稼げるようになる」。昔なら、それだけで話が終わってた。けど時代が変わった。労働力人口は減り、個人のキャリアは多線化し、組織側も「選ばれる公務」でいないと人材が集まらない。だから今回、“職員の知識・技能をいかした事業”や“社会貢献に資する事業”について、職務専念義務・公正な執行・公務の信用の確保等の観点から問題がないと考えられるものは、自営兼業として行うことを承認し得るよう、承認基準を新設した。施行は2026年4月(令和8年4月)から。

背景にある問題意識も大きい。兼業を通じて職員が主体的に学びを深めることを可能とし、そのことがモチベーションの向上や本業への好影響につながり得る、という整理がある。さらに、人材確保の観点からも有益であるとして、目指す公務の方向性を、①使命感を持って意欲的に働ける公務、②年次に関係なく実力本位で活躍できる公務、③働きやすく成長を実感できる公務、④優秀な人材を惹きつけ、選ばれる公務、の4点で示している。


◾️まず結論:これは「全面解禁」じゃない、承認基準の新設だ

誤解されやすいけど、ここが大前提。
自由化ではない。承認制だ。
ただ、承認できる範囲を“制度として明文化した”のが大きい。だからこそ、申請側は「外形」と「運用」を最初から設計して、説明できる形に落とす必要がある。


◾️承認の判断軸は3つだけ

承認・不承認の検討は、結局この3点に集約される。

  1. 利害関係(またはその発生のおそれ)がないか
  2. 職務の遂行に支障が生じないか
  3. 公正性・信頼性の確保に支障が生じないか

この3点を、事業計画書や申請書で“具体”として示す。抽象論で戦う制度じゃない。


◾️「自営兼業」と「104条兼業」は別物(ここは踏み外すと危ない)

自営兼業は、個人名義で広く消費者等を相手に売買等を営むイメージ。
一方で、特定の法人・団体から、労働の対価として報酬を得て、継続的または定期的に事務・事業に従事する形は、雇用契約がなくても104条の「兼業」に寄ってくる。

実務的にはこう考えるのが安全。
「不特定多数向けの自営」+「特定の法人と継続契約」になった瞬間、104条の射程が見えてくる。ここは“自営の延長だから大丈夫”で突っ込むと、後で詰む。


◾️なぜ「開業届」と「事業計画書」が必須なのか

理由はシンプルで重い。
①利害関係がないこと、②職務に支障がないこと、③公正性・信頼性に支障がないこと――この要件を満たすだけじゃなく、適正手続を踏んだ「対外的に説明可能な計画」に基づいて事業を行うことを担保するため。
要するに、“やる気”ではなく“設計”で見られる。


◾️事業計画書に最低限書くべきこと(Q&Aの骨格を噛み砕く)

書式は固定じゃない。でも最低限、次の3つは必須とされている。

・事業の目的及び業務内容
・営業日及び営業時間
・収入の予定年額

そして、審査側の判断に資する情報として、可能な限りこういう情報も入れるのが合理的。

・利害関係の発生のおそれ:職務と無関係であること、主たる取引先、販売経路
・職務遂行上の支障:週休日のみで運用する設計、勤務日なら勤務時間外に限定する設計(メール対応も含め)
・公正性・信頼性:組織の政策等について個人的見解を表明するものではない、肩書きを使わない、などの運用ルール
・知識・技能との関係/公益性:どの技能をどう使うのか、どんな公益性を伴うのか

「事業の目的・内容」は、業種特定(標準産業分類なども参考)や、契約の形・提供物が分かるレベルまで具体化すると強い。


◾️勤務日の扱いは原則「例外」:時間設計で落ちる典型

運用上の原則はこう整理されている。
自営兼業は、週休日のみで、かつ休養も確保できる見込みがあることが原則。勤務日に入れるのは例外で、やむを得ず勤務日の勤務時間外に行う必要がある場合に限り、しかもインターバル確保の趣旨に反しない範囲に収める必要がある。承認判断も厳格になる。

さらに、勤務日に兼業する場合の“目安”として、週8時間または月30時間、勤務日1日3時間の範囲内、といった整理も示されている(他の兼業があるなら合算で管理)。
ここを甘く見ると、事業内容が良くても「職務の支障」で落ちる。


◾️社会貢献枠:典型例と、攻めるなら押さえる根拠

社会貢献に資する兼業の典型は、地域イベントの主催や生活支援サービスのように「公益に資する活動を伴う事業」。典型でない場合は、より丁寧な相談が必要、と明確に釘が刺されている。

「公益に資する活動」の整理としては、NPO法別表の類型が参照されていて、たとえば
・保健、医療、福祉の増進
・社会教育の推進
・農山漁村・中山間地域の振興
・学術、文化、芸術、スポーツの振興
などの活動を、営利事業の遂行過程として伴う場合、「社会貢献に資する兼業」として承認される可能性がある、とされている。

社会貢献枠で戦うなら、「公益性が“看板”じゃなく“実装”になっているか」。ここが勝負になる。


◾️NG例:公正性・信頼性で落ちるパターン(いちばん致命傷)

典型的にアウトになり得る論点は次。

・自営の内容が所属組織の所掌事務に極めて近い
・専ら職務上得た知識を用いる(またはそう見える)
・販売先・取引先に、現官職の利害関係者や所属府省の組織が想定される
・自営の過程で、所掌事務に関する個人的見解を流布する
・単価設定などが社会通念からかけ離れた収入水準
・反社、公序良俗違反、特定事業者への利益誘導など、世間の批難を受けかねないもの

加えて、ブログ・動画などの発信型は、誹謗中傷・不快嫌悪・公序良俗・権利侵害・社会規範違反があると当然認められない、という整理もある。

そして重要なのは更問のニュアンス。
「職務で得た知識・技能を活用する自営兼業=絶対ダメ」ではない。ただし、公正性・信頼性の観点から厳格判断になり得る。だからこそ、各所轄庁の長等との丁寧な相談が必要、という立て付けになる。


◾️承認後も終わらない:期限、留保、変更、異動がセットで来る

・承認は2年を超えない期限付き
・承認に留保が付くことがある(肩書きを使わない、定期報告、確定申告書写し提出など)
・事業内容を変更するなら、変更前に再承認が必要
・収入見込みの大幅変動も、実質「変更」に寄る(目安として3割増のような水準が示唆されている)
・異動・転勤で状況が変われば、改めて承認可否が判断され、継続できなくなる可能性もある

つまり、制度は「一回通せば永久にOK」じゃない。運用で信用を積む制度だ。


◾️罰則:ここだけは冗談じゃない

承認を得ずに内容を変更した場合、服務義務違反として懲戒の対象になり得るだけじゃなく、刑事罰(1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)の射程にも入る、と整理されている。
この制度は、自由の拡張であると同時に、「事前相談と再承認」をサボった瞬間に一気に危険になる制度でもある。


◾️最後に

この制度は、国家公務員の人生の選択肢を増やす。だけど“好きにやっていい”じゃない。“説明できる形に設計してやる”だ。そこを理解して動ける人ほど、チャンスになる。
今の段階で出ている一次資料(人事院の報道発表運用通知Q&A)を押さえて、自分の状況に落として考える。アンテナを張って、制度を味方にして、自分の意思決定とキャリアの舵取りを賢くやっていく。
俺自身、待ちに待った朗報だと思ってる。残りの公務人生の中で「もう無理だ」と諦めてたことに、現実の道が開いた。ワクワクでしかない。
さあ、今日も愛と感謝を胸に。バイバイ。



松永 修 – MUSICおさむ

松永 修/音楽名義:MUSICおさむ(シンガーソングライター)/音楽と文章の作家/国家公務員/キャリアコンサルタント

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