日々のことば(ブログ)

✍️2026年4月から第12次へ|職業能力開発基本計画が動かす人・制度・助成金と、現場の次の一手

おはよう。現役の国家公務員として働きつつ、個人で音楽活動、執筆活動、そしてIT関係の開発もいろいろやっている松永です。

職業能力開発基本計画って、知っているだろうか?一般の方は、なかなかそこまで知らないかもしれない。キャリア支援に携わる人ですら、よほど制度の根幹を理解して「次の一手」を読もうとする人以外は、意外と触れる機会が少ないと思う。今日は、まさにその話をする。

国には5カ年計画があって、その方針に沿いながら、助成金や補助金を含むさまざまな事業を組み立て、制度設計を工夫し、世の中をより良くしようとしている。職業能力開発基本計画もその一つだ。今回、第11次の計画は2025年度、つまり2026年3月31日で一区切りになる。そして2026年度、つまり4月1日から新たな5カ年計画が始まる。それが第12次だ。

だから今日は、第11次までの概要と、統計から見えるここまでの成果(と課題)、そして第12次のこれからの展望を、できるだけ分かりやすく簡単に整理していきたい。

ちなみにこの記事は、公的資料や統計などの事実を土台にして、そこから見える流れ(いま社会が求めている方向性のサイン)と、一般的に成り立つ範囲の考察を積み上げていく。誰かを誘導するための結論ありきではなく、判断材料を並べて読み手が自分で考えられる状態を作る、というスタンスで書く。なお、ここで述べる考察や見解は、あくまで僕個人のものであり、所属組織の見解を示すものではない。


◾️最初に要約:第11次→結果→第12次

第11次(今期)の目玉は「学びの入口を増やす」ことだった。オンライン化や重点分野(デジタル等)、キャリア形成支援の整備で、学びをインフラに近づけようとした。
結果として、企業の教育訓練投資は戻りつつある一方で、統計が示した課題は「学ぶための時間設計が薄い」「学びが仕事や処遇に接続しにくい」だ。
だから第12次(次の5年)の目玉は「見える化」と「つながる化(伴走+接続)」になる。学びを“点”で終わらせず、“線”にする方向へ重心が移る。


◾️第11次(ここまで)の目玉は何だったか


第11次を、現場の言葉に寄せて言い直すとこうなる。

・学びやすい形へ(オンライン、夜間・休日など、生活に合わせる)
・重点分野の押し出し(デジタル・ITリテラシー等、変化に耐える基礎を厚くする)
・キャリア形成支援の整備(相談や自己理解を支える仕組みを整える)

狙いは明確で、「学びたい人が動ける社会」を作ることだった。


◾️第11次の“実際の結果”はどうだったか(統計が示す現実)

ここで一度、地面に降りる。計画がどれだけ立派でも、現場の数字が冷静に現実を映すからだ。

厚労省の能力開発基本調査(令和5年度)では、教育訓練費用を支出した企業が54.6%まで戻ってきている。投資は動き始めた。これは良いサインだ。
一方で、ボトルネックもはっきり残った。象徴が「時間」だ。教育訓練休暇制度の導入は8.0%、教育訓練短時間勤務制度は7.1%。学べ、という空気は強いのに、学ぶ時間の設計が会社の中にまだ薄い

これが意味するのは、わりと単純だと思う。

学びの必要性は共有され始めた
でも時間が確保できない

結果として、学びが個人の残業や休日、自己負担に寄りやすい

若者も中高年も、続けられない人が出るのは当たり前だ。ここは本人の意志の弱さじゃなく、構造の問題だと思う。

さらに、企業側が「人材育成に課題がある」と感じている割合が高いことも、見逃せないサインだ。お金を出しても成果が出にくい、回らない、続かない。次の5年で直すべき場所が、もう見えている


◾️第12次(2026年4月〜)の目玉は何か


第12次は、同じ「学び」の話でも、重心がはっきり移る。僕の言葉でまとめると、目玉はこの2本柱だ。

1)見える化
何を学べば、どんな仕事につながるのか。どんなスキルが、どの職務に効くのか。学びの地図を整えて、迷いを減らす。

2)つながる化(伴走+接続)
学びを“学んで終わり”にしない。就職、配置、処遇、働き方につながる形にする。点を線にして、折れにくくする。

第11次の統計が示した“詰まり”に対して、第12次はかなり素直に手当てしにいっている。ここに今の社会の空気が反映されている、と僕は見ている。


◾️“見える化”は、job tag とプラットフォーム化で一段進む

第12次では、職務に必要なスキル情報や企業の取組を見える形にする流れがさらに強まる。具体策として、職業情報提供サイト(job tag)の情報充実や、支援策情報を連携・一体化したプラットフォーム構築申請手続のデジタル化も進む。現場の支援も、制度を単発で案内するより、情報を束ねて「迷わず辿れる導線」を作れるかが価値になっていく。
ハローワークでも、キャリアコンサルティングからスキル向上、職業紹介まで切れ目ない支援を進める流れが明確になっている。


◾️国の計画は“上から降る命令”じゃない

ここは誤解されやすい。計画は、国が勝手に未来を決めて押し付けるものじゃない。世の中の空気、産業の変化、現場の困りごと、迷い、支援の課題、人手不足――そういう実態が先にあって、いろんな立場の人たちの議論を経て「次はここを直そう」という合意が形になる。計画はその地図だ。

もう一段だけ踏み込むなら、中央や地域の協議会の強化、産官学連携のもとで地域のニーズを踏まえた訓練機会を作る、という方向性も明示されている。つまり、国の方針は“中央の机上”だけで完結せず、地域や産業界の声を拾いながら形にしていく設計になっている。だから、支援する側も、企業も、学ぶ側も、現場から声を返す価値がある


◾️計画は“事業”になる。だから人もお金も制度も動く

ここからは、少しだけ現場目線の話を足す。こういった計画は、結局のところ国側で具体の事業化が進む。事業化される以上、助成金や補助金などの施策がセットで動き、制度設計も工夫される。そして予算がつき、成果指標が置かれ、フォローアップされる。つまり、人もお金も制度も、実際に動く

ここが大事で、支援する側は「制度が出てから追いかける」のではなく、望ましい方向に社会が進むための意図を読み取りながら、うまく乗っかっていく必要がある。もちろん“迎合する”という意味じゃない。現場の実態や声を集め、制度が機能する形に磨き上げる側として関わる、という意味だ。

リスキリングや労働力事情が本当に改善していくかどうかは、国だけでは決まらない。支援の現場、企業の現場、学ぶ本人の現場が、実感を持って動けるかどうかで決まる。だから僕は、みんなで感じながら、一緒に声を出しながら、良い形に高めていく、という視点を大切にしたいと思っている。


◾️具体的に、誰にとって何が変わるか

進路に悩む若者にとって
若者のつらさは「選べない」より「選んだ先が見えない」ことが大きい。見える化が進めば、学びの順番や到達像が置きやすくなる。迷いが“次の一手”に変わる

学び直しに迷う中高年にとって
中高年は時間と責任が重い。だから鍵は内容より「続く形」だ。週に何時間、どこで、どの順番で積むか。途中で止まっても戻れる設計にするか。ここが社会全体でも重視されていく流れになる。

就職・キャリア支援の組織や会社にとって
情報提供だけの価値は下がる。価値が上がるのは、整理・設計・接続
だ。
情報を整理して道筋に落とす(選択肢の編集)
続く形を設計する(時間・生活・職場の制約込み)
学びを仕事につなげる(応募、職務、配置、処遇の接続)


◾️今日から使える「次の一手」イメージ

ここからは、読んだあとに動ける形で置いておく。大きな理屈より、小さく動ける設計だ。

◾️進路に悩む若者の「次の一手」3つ

結構あたりまえのことを述べが、大事なことだから改めて述べる。

1)職種名から入らず、“作業の型”から自分を見る
営業/事務/ITみたいな名前で迷うなら、「人と話す」「文章を書く」「数字を扱う」「段取りを組む」「手を動かす」みたいな作業の型で自分を見た方が決めやすい。職種は後から付いてくる。

2)資格は目的じゃなく“証明手段”にする
資格が欲しい、ではなく「何を証明したいか」。証明したい力が決まると、取る資格も学ぶ順番もブレにくくなる。


◾️学び直しに迷う中高年の「次の一手」3つ

1)まず現職に効く学びから入る
転職のための学びは重い。最初は今の仕事に効く学び(資料、業務改善、デジタル基礎、コミュニケーションの型)から入ると成果が出やすく、続きやすい。

2)成果は「説明できる変化」に落とす
資格よりも、「何ができるようになったか」を言える形にする。作った資料、改善した手順、短縮できた時間。小さくても説明できる成果が自信になる。


◾️就職・キャリア支援の側の「次の一手」3つ

1)面談は“感情→整理→設計”の順番にする
最初から正解を提示すると折れる。まず不安を言語化し、次に選択肢を整理し、最後に短期スパンの設計に落とす。順番が支援の質を決める。

2)学びのロードマップを1枚にする
講座を勧める前に、到達像と段階を1枚にする。本人が地図を持てると継続率が上がる。若者にも中高年にも効く。

3)出口を就職だけにしない
就職だけにすると苦しくなる。配置転換、社内異動、副業準備、業務改善、人事評価の材料化。出口が増えるほど学びは折れにくい。


◾️僕の結論:次の5年は「学ぶこと」より「学びが続き、つながる構造」が勝負になる

第11次は入口を広げた。投資は戻りつつある。けれど統計は、時間設計と接続の弱さという課題も示した。だから第12次は、見える化とつながる化へ重心が移る。これは上からの命令じゃなく、現場の詰まりと社会の空気が積み重なった結果としての合意の地図だと僕は見ている。

そして、この計画は紙の上で終わらない。事業化され、助成金や制度として実装され、評価され、見直される。だからこそ、支援する側が上手に乗っかり、現場の声を返し、良い形に磨き続けることが、結果的に「世の中が望ましい方向に進む力」になる。

さて、そんなふうに全体を俯瞰しながら、自分が今いる位置というのをしっかりと把握して、逆算して、自分の行動に結びつけよう。そうすることで、自分自身の効率的で賢明な選択が取れるようになる。自分自身の自己実現、そして組織、自分の大切な人、関わる人たちとともに手を取り合い、支え合い、愛と感謝を胸に、今日も進んでいこう。

では、愛してる。バイバイ。


松永 修 – MUSICおさむ

松永 修|MUSICおさむ|国家公務員|キャリアコンサルタント|作家・メディアクリエイター/音楽クリエイター(シンガーソングライター)|IT・AI設計・コンサルタント

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