日々のことば(ブログ)

✍️自営兼業は“自己実現の器”|国家公務員が安全に続けるための発想転換(2026年4月〜)

おはよう。今日は、国家公務員の自営兼業(兼業承認)の話を、もう一段だけ“頭を柔らかくして”整理しておきたい。制度の手続や承認基準の細部は前回までで押さえた。今回はそこから一歩引いて、「どう使うと壊れないか」「承認する側が何を守りたい制度か」を、一本にまとめる。

連載の流れとして、前回までの記事はこちら。
✍️国家公務員「自営兼業」解禁の全体像|2026年4月新ルールの承認基準・必要書類・NG例・罰則まで
✍️勢いで突っ込まない。国家公務員の兼業を“壊さずに回す”設計図|時間の物理と家庭負担を織り込む(2026年4月〜)
今回は、その続き。制度の説明を繰り返すんじゃなく、「自営兼業をどう捉えると、現実の生活と公務の両方を守りながら回せるか」を、考え方として置いておく。

◾️いまの前提:時間がないフェーズは、能力じゃなく“時間の物理”

子育て、介護、体調、家庭の事情。そういうフェーズでは、そもそも働ける時間が限られている。週休日といっても家庭もあるし、プライベートもあるし、回復の時間も必要だ。全部を“外の活動”に当てるわけにはいかない。だから、できること自体が限られている。ここを無視して突っ込むと、壊れる順番はだいたい決まる。家庭→体→アイデンティティ。まずこの現実を、本人も組織も共有しておくのが出発点になる。

◾️制度の芯:自営兼業は「自由化」ではなく「問題がない範囲を承認する」

自営兼業は、何でも好きにやっていい制度じゃない。制度の趣旨は、職務専念義務、職務の公正な執行の確保、公務の信用の確保等の観点から問題がないと考えられるものについて、自営兼業として行うことを承認し得るようにする、という構造だ。承認・不承認の判断では、職員から提出される事業計画書等(事業の内容、営業時間、年間の収入見込み等)を踏まえ、承認権者が承認基準に照らして、①利害関係(又はその発生のおそれ)がないか、②職務の遂行に支障が生じないか、③公正性、信頼性の確保に支障が生じないか、を検討する。つまり、本人の熱量より先に、「公務を壊さない」「社会から見て説明できる」が中心に置かれている。

◾️承認する側の願い:安全に選択してほしい、が土台にある

制度を作る側・承認する側には、職員の自己実現やウェルビーイング、キャリアデザインを後押ししたい意図がある一方で、組織の健全な運営も守らなければならない現実がある。人手不足や業務量の問題、異動や体制変更もある。そこで兼業を広げすぎて公務が崩れたら本末転倒になる。だからこそ、「今の生活に負担を起こさず、公務にも支障を出さず、透明で、公正明大に説明できる形でやってほしい」という“安全運転の願い”が、運用の前提に置かれていると考えるのが自然だ。

◾️労働力不足の時代の意味合い:社会還元はあるが、国家公務員は一気に自由化できない

世の中全体として労働力が不足する中、副業規制の緩和には「社会に労働力を還元する」という側面もある。ただ国家公務員の場合、完全に自由化すると利害関係や信用の問題が一気に増える。公務との兼ね合いの関係で、どうしても制限せざるを得ない。だから制度としては、まずは安全な形で、職務の公正と信用を守りながら運用し、ケースを集め、問題のない線を固めていく——そういう段階を踏むのが合理的だ。最初から「年収を大きく上積みするビジネスを広く想定している」と読むより、まずは“壊れない範囲での自己実現”を許容し、結果として社会にも還元される、という順番で捉える方が制度の設計に整合しやすい。

◾️国家公務員は一枚岩じゃない:官職も行政も多種多様で、線引きには時間がかかる

「国家公務員」と一言で言っても、中身は多種多様だ。府省も違うし、現場も違うし、所掌事務も違うし、個々の職務状況も違う。ある職場では問題にならないことが、別の職場では公正性・信頼性に直結してしまうこともある。だから各組織で、「やってはいけないこと」「誤解されやすいこと」「利害関係が生じやすいこと」を整理し、内規や運用で形にしていく必要がある。でもそれは一瞬ではできない。事例の蓄積と、判断の積み重ねが必要になる。つまり今は、全国一律の完成形というより、これから線を明確にしていく“整備途上”の局面にいる。

◾️だから今は、グレーを攻めないのが賢い

制度が動き出した直後ほど、「どこまでいけるか」を試したくなる気持ちは出やすい。でも最初期にグレーを攻めると、本人にも組織にもコストが大きい。承認側は慎重にならざるを得ず、本人は説明と修正で疲弊しやすい。制度そのものへの警戒も強まりやすい。だから今は、ぎりぎりのラインを攻めて拡大を狙うより、典型的に想定されている範囲に寄せて、優しく自己実現の延長として始めるほうが賢い、という発想が成立する。

◾️ここで効く発想:承認は「稼ぐ装置」ではなく「堂々と続ける器」

制度ができた瞬間、「稼ぐための装置」に見えてしまう人もいる。でも整理しておく。自営兼業の承認は、年収をドカッと増やす競争を促すものではない。むしろ、生活と公務を壊さず、対外的にも説明可能な計画に基づいて、適正な手続を踏み、透明な形で活動を継続するための“器”になり得る。収益の大小そのものが本質ではなく、「利害関係・職務支障・公正性/信頼性」を崩さない運用設計が本質になる。稼ぐ前提ではなく、堂々と継続するための整備として、開業届や事業計画書の準備を捉える。これで気が軽くなる人は多いはずだ。

◾️社会貢献枠は重要。ただ“最初から実動を増やす”必要はない

制度には「社会貢献に資する」枠もある。国民への説明としても自然だし、制度設計として置かれるのは当然だ。ただ、社会貢献を「現場実動が多い事業」と同一視して、いきなりそこに飛び込む必要はない。趣味や自己実現の延長が、結果として公益性を帯びることは普通に起こる。一方で、現場実動が多い形は、時間の物理に負けやすい。DXやITで回せる人はそれでいいが、「やれるか」より先に「続くか」を見た方がいい。続かなければ、公務にも家庭にも跳ね返る。

◾️制度は、職員と組織で“育てる”もの

結局、この制度は運用で育つ。事例が集まり、線引きが見え、各組織の内規や運用が整っていく。だから最初から最大化しにいくよりも、問題が出にくい範囲で始め、様子を見ながら、職員も組織も一緒に制度を育てていく。それがいちばん現実的で、いちばん長く続く。

◾️結論:いまは「優しく始める」が強い

いまは、拡大より継続。稼ぐ前提より、堂々と続ける前提。グレーを攻めるより、典型例に寄せる。制度の趣旨に立ち返るほど、このルートは筋がいい。自営兼業は、生活と公務を壊さず、自己実現を合法的に継続するための装置として使う。そう考えると最初の一歩が軽くなるし、承認する側にとっても安心材料が増える。

◾️最後に

比べなくていい。焦らなくていい。時間が限られているフェーズの人ほど、「安全に選ぶ」「続く形にする」ことが強さになる。小さくても止めずに積み上げる。制度を、生活と公務を守りながら自己実現を続けるために使う。今はそれでいい。

さあ、今日も愛と感謝を胸に。
今日は僕にとって大切な日。全力で楽しむ。
こころはひとつ。

松永 修 – MUSICおさむ

松永 修|MUSICおさむ|国家公務員|キャリコン|作家・メディアクリエイター/音楽クリエイター(シンガーソングライター)|DTM作編曲

関連記事

最新記事
会員限定記事
おすすめ記事
PAGE TOP
ログイン 会員登録
会員登録