おはよう。今日は冷たい秋雨だ。少し肌寒いけど、どこか懐かしくて心地いい。毎年、忘れた頃に同じ季節がめぐってきて、何度でも新鮮に感じる。四季を持つ国に生まれてよかったなと、ふと思う。
さて、今日は最近アクセスが多い音楽系の記事の中でも、特にライブに直結するテーマ──「イヤーモニター」について話したい。
イヤモニを理解し、使いこなせるかどうかで、ライブの安定感も表現力もまるで変わる。これは、経験を積めば積むほど実感するところだ。
◾️イヤモニとは何か
イヤモニ(In-Ear Monitor)はその名の通り、「耳の中で聴くモニター」。
通常、ステージではお客さんに向けた“外スピーカー(FOH)”と、演者側に向けられた“内モニター(ステージモニター)”がある。内モニターからは自分の声や演奏を返してもらい、その音を聴きながら演奏する。カラオケも基本は同じ構造で、スピーカーから返ってくる自分の声を聴きながら歌っているわけだ。
ただし、ライブ会場が広くなると、音が空間を伝って返ってくるまでに時間差が生まれる。つまり“音の遅延(ディレイ)”だ。0.1秒でもズレるとリズム感が狂う。音の反射や残響も混ざり、自分が何を歌っているか分からなくなる。この問題を解決するのがイヤモニ。耳の中に直接、正確なモニター音を届けることで、反射の影響を受けずに安定して歌える。プロの世界では、イヤモニが“もう一つの楽器”と呼ばれるくらい大切に扱われている。
◾️スピーカーモニターとイヤモニの違い
小規模会場では、ステージモニター(中モニ)だけでも十分。むしろ自然な空間の響きを感じながら歌えるので、アマチュアや弾き語りライブではこちらの方が安心する人も多い。
ただし、会場の構造や音響環境によっては、返しの音が届きにくい位置ができたり、ドラムやギターの音に埋もれて自分の声が聴こえなくなることもある。イヤモニを使えば、どんな環境でも一定のバランスで自分の音を聴ける。それが最大の強みだ。
ただし、両耳を完全に塞ぐタイプだと、外音が遮断されてしまうため、観客の反応や会場の空気を感じづらくなる。片耳だけ使う人も多いが、左右の音像が不自然になって混乱することもある。プロのミュージシャンでも、この“片耳派”と“両耳派”、あるいは遮音性のイヤホン派と開放型派、どちらが良いかは意見が分かれる。要は、自分に合うやり方を探すことだ。
◾️クリック音──“もう一人のドラマー”
ライブ現場では、イヤモニが単なる返し以上の役割を果たすことがある。
それが「クリック音」だ。クリック音とは、演者にしか聴こえないリズムの合図。テンポキープのためのメトロノーム音、曲の入りを示すカウントイン、無音から始まるセクションのタイミングなど、すべてイヤモニを通して聴く。
このシステムを使うと、バンド全体のリズムが常に一定になるため、同期音源(シーケンス)や打ち込みトラックとぴったり合わせられる。ソロでもオケと同期しながら弾き語りしたり、観客から見れば「どうやってタイミングを合わせてるんだろ?」と思うようなパフォーマンスもできる。つまり、クリックは“見えない合図屋さん”だ。ステージ上では照明や演出との同期にも使われ、テンポに合わせて照明が動くのも、クリック信号とリンクしている場合が多い。ただし、クリックを使うなら「信頼できるルーティング」が必須だ。
僕の場合はMacBook ProからRME Babyface Pro FSに出力し、メインオケはPA卓へ、クリック専用トラックは別アウトからSHURE PSM300イヤモニシステムへ送っている。
ワイヤレスで腰のレシーバーに飛ばし、そこからイヤホンで受け取る。こうすることで、観客には聞こえないクリックを自分だけ聴きながら歌える。
◾️実践的な運用と注意点
イヤモニは便利だが、電池切れ・電波干渉・遅延といったリスクもある。
だから僕は、イヤモニに頼りすぎないようにしている。クリックがなくてもテンポを保てるよう、何度もリハーサルを重ねる。
あるいは、少し割り切って、簡単なカウントやリズムの合図をあらかじめ会場のオケにうっすら混ぜておくこともある。そうすれば、クリックに頼る必要を最小限にできる。また、イヤモニ自体も、必要なときだけ装着し、曲中は外して自然な空間に戻ることもある。
最近は骨伝導イヤホンも進化していて、耳を塞がずにクリック音だけを骨で聴くことができる。これなら周囲の音も自然に聴けるし、会場との一体感を保ちながら、安定したテンポを維持できる。
イヤモニは「完璧に聴こえるための装置」ではなく、「自分の軸を保つための装置」だ。
環境に左右されず、自分の世界を保つための道具。それを理解して使うことが、表現者としての自由につながる。
さて、今日もそんなことを考えながら、しっかり学び、成長し、楽しみながら過ごしていこう。
仕事も家庭も、毎日の暮らしもこなしながら、それでも一歩ずつ前に進むことで、人生の豊かさは確かに育っていく。
それは自分だけじゃなく、大切な子どもたち、家族、仲間たちをも豊かにしていく。
さあ、今日も同じ空の下で、それぞれが懸命に生きている。その姿を胸に、僕もまた頑張っていこう。
家族よ、愛してる。ありがとう。
それを胸に刻んで今日も進もう。
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