おはよう。今日も冷えるね。手のかじかみを感じながら、今日も音楽の話をしたい。
最近、人前での表現について深く伝える記事が増えている。
先回の記事では「発表会から表現へ」という話をした。
・ステージ上の相互関係と“心が動く場づくり”の本質
・弾き語りを“ただの発表会”から“人の心を動かす表現”へ
今日は、そのさらに奥に踏み込む。
今回の記事は、僕がどうしても言語化したかった核心だ。
それは、
自由は、圧倒的な準備からしか生まれない
ということ。
そしてこれは、音楽だけじゃなく、試験、セミナー、講演、プレゼン、営業、面接、授業、イベントMC、実技試験、発表、どんな対面の表現でも、全部同じ構造を持っている。
◾️「準備して覚えること」は最低ラインでしかない
人前で演奏する、話す、歌う。
多くの人がそこでやってしまうのが、
本番で記憶にアクセスし続けること。
歌詞を思い出す
コードを間違えないように弾く
原稿を忘れないように話す
この状態は、すべて“自分向きの集中”。
その瞬間、
目の前の人は置き去りになる。
どれだけ丁寧にやっても、真剣でも、
これは「発表会」から抜け出せない。
◾️本番は緊張していなくても、練習とは全然違う
ここを勘違いしてはいけない。
緊張しない人でも、熟練者でも、
本番の精神状態は練習とは“別物”だ。
脳は、
・場の空気
・相手の表情
・時間の流れ
・音量や空間
・言葉の反応
これらを同時に処理し続ける。
その状態で、
さらに記憶にアクセスして再現しようとすると、
キャパが溢れる。
素人はそこで、
相手を切り捨てて
正確な再現作業に逃げ込む
それが「響かない理由」だ。
◾️自由は“圧倒的な準備”からしか生まれない
ここが今回の核心だ。
「本番は自由に話せばいい」
「その場のノリで表現すればいい」
こう言う人がいる。
でも、それは違う。
圧倒的な準備がない人のアドリブは、自由ではなく“手抜き”だ。
音楽でも
試験でも
セミナーでも
本番でもそう。
楽譜を覚える
歌詞を覚える
指が動くまで反復する
専門用語を覚える
理念を理解する
人に教える
この過程で、
ピースとフレーズが蓄積される。
語彙
理解
知識
身体性
世界観
これらが積み重なることで、
初めて「自由に話す権利」が生まれる。
準備もせずに自由を語るのは、
自由ではなく、“逃げ”だ。
◾️準備は博士になるためにやる
学ぶとは、暗記ではない。
博士になるほどやる。
死ぬほどやる。
専門用語が自然と口から出る
フレーズが勝手に指から漏れる
知識が立体的に繋がる
そのレベルまでやる。
人に教え
承認欲求すら超えて
「語る意味」だけが残る領域までやる。
ここまで到達した人は、
自信を持とうとしなくても、自信が滲む。
これがプロの準備だ。
◾️本番で必要なのは「思い出すこと」ではなく「湧き出ること」
膨大な準備をした上で、本番では、
記憶を再現しようとしない
なぜなら、
“伝える”と“再現する”は矛盾するから。
本番で必要なのは、
伝えたいことが身体から湧き出る状態
それは暗記ではなく、
理解と実存に根ざしたエネルギーだ。
◾️パッケージを再現してはダメなんだ
長年の練習で、
ピースとフレーズを蓄積すると、
多くの人は「塊ごと再現」しようとする。
練習で作った“正解のチェーン”を、
そのまま本番で再生する。
でもそれは、相手に届かない。
なぜなら、それは
自分の作業
だから。
弾き語りでも
セミナーでも
実技試験でも同じ。
本番でやるのは「再生」ではなく「再設計」。
目の前の人に合わせて、
毎回違う組み合わせが生まれる。
これが、本当の表現だ。
◾️だからこそ、本番では忘れていい
誤解しないでほしい。
「忘れろ」と言っているのは、
準備した内容を無にしろという話じゃない。
蓄積されたピースとフレーズは、
忘れようとしても忘れられない。
本番で忘れるべきなのは、
「今日はこの順番で言う」
「この流れで進める」
という“台本の構造”。
それを忘れることで初めて、
目の前の相手に合わせた柔軟な表現ができる
圧倒的な準備がある人だけに許される、
最高に自由な領域だ。
◾️自由とは「準備からの開放の結果」
準備がない人は自由になれない。
自由を語る資格すらない。
死ぬほど準備し
理解し
蓄積し
その重みを抱えた上で、
初めて「忘れる自由」を手にする。
そのとき表現は、
「すごいでしょ」ではなく、
「あなたに届けばいい」に変わる。
そしてそれが、
人の心を動かす。
◾️最後に
さあ、今日もそんなことを考えながら、
音楽を楽しみ、生活を豊かにしていきたい。
一つのことを突き詰めると、
他の領域にも応用が利く。
普遍的な真理というものが手に入る。
1を知って100を知るとは、そういうことだ。
それを日々、内省し、言語化し、実践していけば、
人は気づかない間に、驚くほど成長している。
今日もみんな、大切な人がそれぞれの場所で一生懸命頑張っている。
同じ空の下で、心を一つにして生きている。
愛してる。
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