おはよう。
今日はギターの話。最近このブログで続けて書いている「ストローク」と「リズム設計」の話を、初心者〜中級者向けに、弾き語りの実践編としてまとめる。
前回は、「裏拍」「8ビート/16ビート」「ダウン/アップ」「アクセント」を、感覚ではなく設計として言語化した。
「右手の振り子を止めない」「最小単位を決める」「鳴らす場所を設計する」――この地図があるだけで、ストロークの迷いは一気に減る。
まだ読んでいない人は、まずこれが土台になる。
✍️ギターが上手くならない原因は「裏拍」だった|8ビート/16ビート×ダウン/アップ×アクセントでノリが変わる
そして今回は、その土台を踏まえた発展編だ。
「理解した」だけで終わらせず、弾き語りの現場でどう使うか。
抑揚の出し方、後半に向けた盛り上げ方、セクションごとの切り替えを、右手の設計として具体的に整理していく。
目次
- 弾き語りの抑揚は「右手の設計」で作れる
- 抑揚の正体は「最小単位」「鳴らす場所」「アクセント」
- まずはAメロ:8分基準で“歌の土台”を作る
- フィルイン:8分のまま一瞬だけ16分を差し込む
- Bメロ/サビ:16分基準の8ビートに切り替えて盛り上げる
- 8分振りと16分振りの“キャラ”を使い分ける
- バックビートと「スキップ・バック」で空気を変える
- 右手は打楽器:ミュートと空振りでグルーヴを作る
- まとめ
- ちなみに:3拍子と6/8で迷子になる人へ
弾き語りの抑揚は「右手の設計」で作れる
弾き語りは、最初は左手が大変。コード、押さえ替え、フォーム。
でも、一定レベルを超えると、上手さの中心は右手に移る。
理由は単純で、弾き語りのノリはほぼ打楽器だから。
「ジャーン」より、ピックが弦に当たる**パーカッシブ成分(カッ/ジャッ)**のほうが、曲の推進力と抑揚を決める。
だから今回のテーマはこれ。
同じコード進行でも、右手の設計だけで“抑揚”と“盛り上がり”を作る。
抑揚の正体は「最小単位」「鳴らす場所」「アクセント」
今日の話は、結局この3つだけ。
- 最小単位:右手の振り子を8分で回すか、16分で回すか
- 鳴らす場所:表/裏/中割りのどこを鳴らしてどこを空振り・ミュートするか
- アクセント:どこを強くするか(バックビート/スキップ・バック※)
※スキップ・バックについては、後半の「バックビートとスキップ・バックで空気を変える」で詳しく説明する。
この3つを意図して選べると、弾き語りは一気に“展開”が作れる。
まずはAメロ:8分基準で“歌の土台”を作る
Aメロは基本、歌が主役。
ここで有効なのが**8分基準(裏=アップ)**の安定感と軽さ。
- 右手の最小単位:8分
- 表(1/2/3/4):ダウン
- 裏(&):アップ
裏がアップになると、高音弦側が鳴りやすくてキラッとする。
この“軽さ”が、歌の邪魔をしない。弾き語りの土台として強い。
ここでのコツは、全て同じ強さにしないこと。
最低でも「表やや強く/裏やや軽く」の段差を作るだけで、ノリが出る。
フィルイン:8分のまま一瞬だけ16分を差し込む
抑揚を作る最短ルートがこれ。
基本は8分基準のまま、必要な瞬間だけ16分の粒を入れる。
入れどころは、だいたいここで効く。
- 小節の終わり(次へつなぐ)
- 歌のブレス前(空気が変わる瞬間)
- サビ頭の直前(助走)
ポイントは「曲を16ビートに変える」じゃない。
8ビートのまま、一瞬だけ“粒”を増やす。
表現としては、
「ジャッジャッ」→「ジャカッ(短い装飾)」
これだけで、聴こえ方が急に立体になる。
Bメロ/サビ:16分基準の8ビートに切り替えて盛り上げる
盛り上げたいセクションで強いのがこれ。
同じ8ビートのまま、右手の基準だけを16分にする。
- 右手は16分で止めずに動く
- ただし、鳴りの主役は8分(表と裏)
- e/aは空振り or 軽いミュートで“粒”だけ残す
これをやると何が起きるか。
- 音が前へ進む(推進力)
- 低音弦側の押し出しが増える(太さ)
- ほんのり16ビートっぽい匂いが出る(盛り上がり)
でも分類としては8ビート。
“鳴りの主役”が8分だから、歌を潰さない。
ここが弾き語りで一番使える切り替えだと思う。
Aメロ=8分基準、サビ=16分基準の8ビート。
これだけで曲にストーリーが出る。
8分振りと16分振りの“キャラ”を使い分ける
8分振りと16分振り、どっちが上級とかじゃない。
キャラが違う。
- 8分振り(裏アップ)
- 明るい/軽い/キラッとする
- 歌の余白が出る
- スイング気味のノリと相性がいい
- 16分振り(推進力)
- 太い/前に進む/重心が低い
- 盛り上がりを作りやすい
- BPMが上がってもノリが崩れにくい
弾き語りはこの2つを、セクションで切り替えるだけで十分“展開”になる。
バックビートと「スキップ・バック」で空気を変える
アクセントの切り替えは、抑揚を作る“最短の装置”だ。
基本になるのが バックビート(2と4が強い)。
そしてもう一つ。
バックビートを少し崩して“裏に食う”アクセントを混ぜると、同じ8ビートでも空気が変わる。
ここで言うのが スキップ・バック。
バックビートだけでも十分ノる。
でもスキップ・バックを混ぜると、急に“語り口”が出る。
弾き語りで展開を作るのに、これは本当に便利だ。
ちなみに:スキップ・バックとは何か(用語の整理)
ここは用語として混乱しやすいので、短く整理しておく。
スキップ・バック(Skip Back)は、MUSICおさむ的な造語だ。
よくある質問:これって何て呼ぶの?
「バックビート(2と4が強い)」は分かる。
でも実際に弾いていると、こんな“気持ちいい型”が出てくる。
- バックビートが「ツツ タツ ツツ タツ」だとしたら(※タがアクセント)
- 「タツ ツタ ツツ タツ」みたいにタ(アクセント)が
1表 → 2裏(2&) → 4表 に来るやつ
これ、フロント(1と3強調)ではない。じゃあ何か。
答え:シンコペーション(syncopation)、つまり 裏(オフビート)に食うアクセントの一種。
現場っぽく言うなら オフビート・アクセント、または 「2の裏に食う」 が近い。
ただ、この型は「裏が強い」だけじゃなく、4が強い=バックビートの名残も残っている。
だから僕は分かりやすさ優先で、これを
バックビートのシンコペ寄りアレンジ=スキップ・バック
と呼んでいる。
バックビートとスキップ・バックを行き来できると、
弾き語りの抑揚が一気に作りやすくなる。
(しかも難しいことはしてない。強く当てる場所を変えてるだけ。)
右手は打楽器:ミュートと空振りでグルーヴを作る
結局、弾き語りの上手さは
- ピックの当たる深さ
- ミュートの強弱
- 空振りと実音のコントラスト
- 左手ミュート、ブリッジミュート
- 単音を混ぜるタイミング
こういう「粒の精度」で決まる。
右手が整うと、左手の装飾(カッティングや単音)が生きてくる。
まとめ
弾き語りの抑揚と盛り上げは、気合じゃない。音量の大きさでもない。リズムだ。リズムと粒だ。
ゴーストノート(音程のないパーカッシブな打音。デッドノートとも呼ばれ、グルーヴ感やリズムに立体感、ノリを生み出す)、ブリッジミュート、サムピング(右手で弦を叩くやつ)、カッティング(これは左手で音を殺す動きだが)。
結局、こういう“効いてる要素”のほとんどは――右手の設計で決まる。
・振り子の基準を決める(8分/16分)※セクションごとに切り替えてもOK
・同じ8ビートでも「鳴らす場所」を設計する
・8分のまま、フィルインで16分を一瞬差し込む
・アクセントを切り替える(バックビート/スキップ・バック)
・パーカッシブ要素を足す(ゴースト/ブリッジミュート/カッティング/サムピング)
これを意識して選べるだけで、
同じコードでも“展開”が作れる。
弾き語りは一気に音楽になる。
ちなみに:3拍子と6/8で迷子になる人へ
4/4以外で「数え方が崩れる」「ダウンアップが分からなくなる」人は、こっちの記事も番外編として置いてある。
3拍子と6/8の設計図があると、迷子になりにくい。
✍️3拍子と6/8がわからないギター初心者へ:数え方とストロークの設計図(ダウンアップ迷子を卒業)
人って、たった一つの気づき、たった一つの認識で、一気に上達する。この記事が、そのきっかけになればうれしい。
でも最後は、人に言われたことを、そのままなぞるだけじゃ身につかない。
自分なりの気づきに変えて、はじめて自分のものになる。
人はみな、自分の中に答えを持っている。
ただ、自分だけでは気づけないこともある。だからこそ、外からの視点を素直に取り入れて、その盲点を照らしつつ、得たものをもう一度、自分の感覚と言葉に変換していこう。
そうすれば、これまでできなかったことも前に進む。驚くほど。
では、今日も、愛と感謝を胸に。
一生懸命、がんばろう。
では、バイバイ。
- ✍️弾き語りが急に上手くなるストローク設計|8分・16分の使い分けとバックビート/シンコペで抑揚を作る

- 3拍子と6/8がわからないギター初心者へ:数え方とストロークの設計図(ダウンアップ迷子を卒業)

- ✍️ギターが上手くならない原因は「裏拍」だった|8ビート/16ビート×ダウン/アップ×アクセントでノリが変わる

- 歌ものDTMの鍵盤ミックスOS|音量・EQ・リバーブで“空気の床”を作る

- ✍️歌と弾き語りが一段プロっぽくなる──響き・位相・うねりの土台に「裏」を常に置くと、一気に“音楽”になる

- ✍️素人っぽい歌をプロっぽい歌唱に変える3つのトリガーワード──響き・位相・うねり(歌がうまくなるコツ)

- ✍️DTMのベースは“埋める”と崩壊する──低域を整理して曲を前に進めるための考え方

- ✍️自由は圧倒的な準備からしか生まれない──人前に立って伝える表現の「本番」に共通する、人を動かす真理

- ✍️DTMのドラムミキシングは“立体の設計”で決まる──Logic Proで歌ものを作る僕のドラム哲学

- ✍️弾き語りの上達は“1次”で決まる──右手と発声という“音の源流”を掴めば、表現は別物になる

- ✍️テイラー(Taylor)という現代アコースティック──その魅力と“音に出会う”ということ

- ✍️ カポで音が細くなる理由──失われた帯域と“弾き語りの本質”を取り戻す方法

- ✍️弾き語りを“ただの発表会”から“人の心を動かす表現”へ──感動的な弾き語りに進化するための3つの視点

- ✍️演奏やボーカルテクニックの先にある──ステージ上の“相互関係”としてのライブパフォーマンス。一方通行にならない、“リスナーと一体となる”表現の理想とは

- ✍️【究極のボーカル仕上げ】テクニックを超えて“本物の歌声”に変わる最後のメソッド

- ✍️イヤモニ完全解説──クリック音・返し・ルーティングまで、現場で使えるリアル運用術

- ✍️ライブで“声を届ける”ためのマイキング完全解説──SHURE SM58とKSM8、距離・角度・姿勢・呼吸のすべて

- ✍️ライブで響く声をつくる6つの軸──テクニックを超えた“生の歌”の法則

- ✍️ボイトレの先にあるもの ― ボーカルが越える「感情の壁」 正確脳から感情脳へ、モードを切り替える。

- ✍️音響ノイズを根絶するアース(接地)のすべて──ギター・ベース・エフェクター・PA・PC・家電・心まで“地球とつながる”完全ガイド

- ✍️弾き語りライブ当日のセッティングと転換の極意──効率化とトラブル防止の実践ガイド

- ✍️レコーディングの基本と本質──マイク、ゲイン、そして心

- ✍️ライブでオケを流しながら同期して弾き語りをする実践ノウハウ──トラブルにも動じない現場力と心の整え方

- ✍️位相とは“波の呼吸”だ──キックとベース、そして歌の馴染みを変える音の哲学

- ✍️iZotope Ozone 12対応|DTMマスタリング完全ガイド:EQからMaximizerまでの10の実践チェーンと補助ツールの徹底解説

- ✍️歌ものDTMミックス&マスタリング完全ガイド|ボーカルを主役にするEQ・コンプ・リバーブ・パンニング・オートメーション・マスタリングの基本【DAW初心者向け】

- ✍️DTMマスタリングで絶対に外せないLUFS──配信・CD・ライブ用オケの音量調整法

- ✍️周波数モニターは嘘をつかない──EQが教えてくれた、響きと声量の正体

- 現場で響くオケをつくれ──ライブ仕様ミックスの裏側

- ✍️音が響いているか──アコースティックギターと改めて向き合うこれから
