おはよう。今日も一日が始まるね。少し曇ってる。気づけばもう10月の中旬。季節が進むたび、時間の流れがどんどん速くなっていくよね。年末に向けて、心も体もギアを上げていく季節だ。さて、今日も音楽の話をしよう。これまで録音やマスタリング、ミキシングなど“音を整える”話をしてきたけど、今日はその先。実際のライブ、現場でのセッティングや転換──つまり、効率と事故防止についての話だ。
ライブといっても形はさまざまだ。ギター一本での弾き語り、オケを流してのソロパフォーマンス、あるいはバンド編成での演奏。今回はその中でも特に、ソロ弾き語りで自前のPC持ち込みのオケ・システムやイヤモニ・システム環境、複数の足元エフェクター機材等を駆使するようなケースを想定して書いていく。
◾️転換を制する者が、ステージを制す
ライブって、音を鳴らす時間よりも、その裏側の“準備と撤収”のほうがよほどドラマがある。ワンマンならまだいい。時間も空間も自分のペースで回せる。でも対バンやイベントだとそうはいかない。次の出演者との間には“転換”という短い時間がある。ここでどれだけ速やかにセッティングして、終わったらどれだけ迅速に撤収できるか──それがすべてだ。ステージの上では誰も待ってくれない。配線がもつれても、パソコンが立ち上がらなくても、もう照明は落ちてる。だからこそ、本番前に「何をステージでやるか」「何をステージでやらないか」を明確に分けておく必要がある。
◾️シンプル・イズ・ベストの哲学
エフェクターが多ければ多いほど、接点も増える。ケーブル、電源、ノイズ、どれもトラブルの芽だ。使う頻度が低いペダルやエフェクターは思い切って外す。どうしても必要ならエフェクターボードにまとめる。スイッチャーやジャンクションボックスを使えば、信号の出入りをひとまとめにできる。現場で“どれがどこ”になるかを考えなくて済む。電源も同じ。家庭用の延長タップをいくつも繋げるより、ノイズフィルタ付きの電源ユニットを一つにまとめた方が安全だ。本番中に電源が抜けるのは最悪の事故。だから、ボード全体を運べば即スタンバイできる状態にしておく。それが最速で最高の安全策だ。
◾️ラベリングと記憶の仕組み化
コードにはすべてラベルを貼る。ギター出力、マイク入力、I/O出力、ルーパーIN・OUT。「ここに何を挿すか」が見てすぐ分かるようにする。マイクスタンドも同じ。高さや角度を事前に記録しておく。テープで印を付けるだけでも本番で迷わない。ルーパーやフットスイッチの切り替え位置も、あらかじめ踏み位置を覚えておく。僕は踏みミス防止のために、スイッチの前にマジックテープの滑り止めを付けている。暗転の中でも足の感覚だけで踏めるように。“考えずに動ける”設計が、現場では一番強い。
◾️転換の練習をしておく
リハーサルでは演奏ばかり練習しがちだけど、本当は転換の練習もした方がいい。ケーブルをどの順で出すか、順番を体で覚える。本番で一番焦るのは「何からやるか分からなくなる」ことだから。セッティング順は“ルーティン化”がポイントだ。何度も同じ順で手を動かす。それだけで本番の安定感が変わる。そして撤収も同じだ。どれだけ丁寧にまとめておくかで、次回の準備が変わる。片付けながら同時にケーブルを整線して巻き、ケースに収納順で戻す。それが“次のライブの第一歩”になる。
◾️音響に頼らない音作りを
PAさんにとっても、演者が自分の音をある程度作り込んでいると助かる。オケにしてもギターにしてもEQやコンプ、リバーブを自前で調整しておけば、音響側はゲインやリバーブなど基本的な“空間へのなじみ”に集中できる。逆に全部をPAに任せようとすると、リアルタイムでは追いつかない。リハがあるステージならまだしも、リハすらない場合はなおさらだ。だから僕は、ライブ用の音源は「LUFSで−16前後、TruePeakで−1.0dB」程度に抑えたオケを持っていく。PA卓でフェーダーを上げ下げしても、十分マージンがあるように。この“余白”が、音響トラブルの保険になる。小さすぎず、大きすぎず、適度な余裕を残しておくのが鉄則だ。
◾️保険を重ねておく
トラブルは必ず起こる。だからこそ“保険”を重ねておく。シールドやXLRケーブルの予備、電源タップの予備、そしてオケが鳴らないときの代替手段。iPhoneから再生できるようにしておくとか、アナログ出力で流せるようにしておくとか、複数の経路を持つこと。最悪、何も鳴らなくても、ギター一本で弾き語れるくらいの覚悟を持っておく。「オケが死んでも、ステージは死なせない」って気持ちが、音楽を守る。結局、聴きたいのは“完璧な音”じゃなく、“生きた音”だから。
◾️ステージは人でつくる
ライブって、機材だけで成り立つものじゃない。PA、照明、主催、出演者、そして観客。みんなの呼吸が合って、ようやく一つのステージが完成する。サウンドチェック中に時間が押しても、焦らない。「もうこれで行こう」と決断する勇気も必要。PAさんに感謝を伝えるだけでも、現場の空気は柔らかくなる。ステージに立つ人間の余裕が、空気を整える。
◾️結果はすべて本番にある
どんなに準備しても、ステージ上では予期せぬことが起きる。けれど、準備してきた人ほど“対応力”が違う。転換の速さも、トラブル対応も、結局は「練習量」と「覚悟量」だ。僕も何度も転んで学んだ。マイクが倒れた、音が出なかった、PAが不調だった、クリックがズレた。でも、その度に少しずつ“自分の最適なセッティング”が見えてくる。それが経験であり、成長だ。
さて、今日もそんなことを考えながら、仕事や生活を回していこう。日々の現場も、家庭も、同じように“段取り”と“心の余白”が大事だと思う。合間に音楽のことを考えながら、やるべきことをやっていく。僕の大切なものは家族。愛してる。同じ空の下で、それぞれがそれぞれの場所で思いを育み、成長を楽しんでいる。そして支えあっている。いつもありがとう。
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