日々のことば(ブログ)

3拍子と6/8がわからないギター初心者へ:数え方とストロークの設計図(ダウンアップ迷子を卒業)

おはよう。今日も音楽の話。ギターのストローク、右手の振り子のはなし。
「3拍子ってダウンアップどうなるの?」
「6/8って3拍子?2拍子?」
「裏拍ってどこ?&って何?」
「ストロークが合わなくなるのはなぜ?」
そんな疑問を持っている人に向けた記事です。

以前「8ビートと16ビートの違い=右手の最小の粒(基準)をどこに置くか」の話をした(✍️ギターが上手くならない原因は「裏拍」だった|8ビート/16ビート×ダウン/アップ×アクセントでノリが変わる)。本記事はその続きで、3/4、6/8、そして9/16みたいな“拍子”の話に踏み込む。ここ、初心者には難解なのに、何故か言語化されて説明されている記事や教則本が意外と少ない。だから僕が残してみる。

◾️まず結論:3/4、6/8、9/16は「拍子(time signature)」の話。

今日のテーマ(3/4、6/8、9/16)は、曲の骨格としての拍子=小節の区切り方と拍の感じ方の話。ここが混ざると一気に曖昧になる。

◾️拍子の読み方:上の数字=まとまり、下の数字=音符の種類

3/4は「4分音符が3つで1小節」。6/8は「8分音符が6つで1小節」。9/16は「16分音符が9つで1小節」。ここまではOK。ただし、体で感じる“拍(ビート)”は別で、特に6/8や9/16は「3つで1拍」として感じるのが基本になる。

◾️まずは一行イメージ

ここだけ押さえると、頭の中のリズムが固定される。
・3/4(8分で振る):1 & 2 & 3 &(山は1) 読み方:イチ・アンド・ニ・アンド・サン・アンド
・6/8(複合2拍子):1 la li 2 la li(山は1と4) 読み方:ワン・ラ・リ ツー・ラ・リ
・9/16(3+3+3):1 la li 2 la li 3 la li(山は各まとまりの頭)

◾️3/4:シンプルな3拍子=「1 2 3」

3/4は“3拍子”。アクセントは基本「強・弱・弱」=「1が強い」。ワルツの「ズン・チャ・チャ」がまさにこれ。数え方は「1 2 3」。細かく刻むなら「1 & 2 & 3 &」(8分)や「1 e & a 2 e & a 3 e & a」(16分)。読み方は「イチ・イー・アンド・ア、ニ・イー・アンド・ア、サン・イー・アンド・ア」。
※「1 2 3」が拍の頭(表)。e(イー)とa(ア)は16分の中割り。&(アンド)は拍の真ん中(8分の裏)。つまり1拍の中が16分4つに分かれて、並びは「1(表) e(16分2つ目) &(裏=8分の位置) a(16分4つ目)」になる。

◾️6/8:見た目は6個、体感は2拍子=「(1-la-li) (2-la-li)」

6/8を「8分が6個」とだけ捉えると、3/4と同じに見えて混乱する。体感はこう。1小節に“2つの大きい拍”があって、その各拍が「3つに割れる」。つまり「(1-la-li) (2-la-li)」。
6/8の山は「1」と「4」。まずは「1がいちばん強い、次に4が山」でOK。ここが体に入ると、3/4と6/8の混乱がかなり消える。

◾️9/16:考え方はシンプル。だけど登場頻度は少なめ

9/16自体は拍子として存在する。ただ、一般的には6/8や9/8に比べると登場頻度は少なめだと思う。とはいえ考え方は同じで、“9個の16分”をただ数えるより「3+3+3のまとまり」として捉えると迷子にならない。体感としては「(1-la-li)(2-la-li)(3-la-li)」で、6/8よりさらに粒が細かい世界だ。

◾️BPMとの関係:どの音符を“1拍”として置くかで速さの体感が変わる

同じBPM表記でも、3/4は「四分=1拍」で数えることが多い。6/8は「8分を3つひとまとまり(=3つで1拍みたいに感じる)」で数えるとテンポ感がつかみやすい(=2拍子の気分)。9/16も同じ発想で「16分を3つひとまとまり(=3つで1拍みたいに感じる)」で数えるとテンポ感がつかみやすい(=3拍子の気分)。だから6/8や9/16を最小の粒(8分や16分)で数え続けると、やたら速く感じやすい。ここが初心者が詰まるポイント。

◾️ここからギターストロークの話:裏拍は「拍子の種類」じゃなく「振り子の基準」から決まる

裏拍は拍子が何であれ存在する。じゃあ、6/8や9/16は裏がないのか?というと、そんなことはない。ある。ただし、3/4みたいに「&が裏」と一言で固定できないだけだ。理由はシンプルで、3/4を8分で刻む時は「1拍が2つに割れる(=表と裏が1個ずつ)」のに対して、6/8や9/16を“複合拍子”として感じる時は「1拍が3つに割れる」からだ。つまり6/8や9/16には裏がないんじゃなくて、裏が“2つある”イメージになる。
・3/4を8分で刻むなら「1 & 2 & 3 &」の「&」が裏(表と裏が1個ずつ)
・6/8を2拍で感じるなら「1 la li 2 la li」。このとき「1」「2」が表で、「la」「li」が中割り=裏側の成分になる(裏が2段階ある)
・9/16も「1 la li 2 la li 3 la li」で同じで、「1」「2」「3」が表、「la」「li」が中割り=裏側の成分になる
要は、裏の場所は拍子そのものが決めるんじゃなく、「自分がどの粒で右手の振り子を回すか」で決まる。8分で振れば&が裏になるし、3分割で振ればla/liが裏になる。だから迷ったら、先に“1拍をどう割って感じるか”を決めればいい。

◾️「アップで始まっちゃう問題」:奇数なのは拍子じゃなく“当てた回数”

まず現象から言う。交互ストローク(ダウン→アップ→ダウン→アップ…)で刻んでいるとき、(小節の頭をダウンで始める前提で)小節の最後がダウンで終わる形になると、次の小節の頭がそのまま流れて「アップから入ってしまう」ことがある。これが「アップで始まっちゃう」問題だ。問題は拍子じゃなく、「小節の頭をダウンで入りたいのに、手の流れ的にアップになって気持ち悪い」ってときに起きる。
ここで勘違いしやすいのが、「3/4だから奇数で変になる」って考え方。でも、原因は拍子じゃない。原因はもっと単純で、こういう話。右手は振るたびに向きが交代する。ダウン(1回目)→アップ(2回目)→ダウン(3回目)→アップ(4回目)…。だから、小節の中で“弦に当てた回数”が偶数か奇数かで、小節の終わりの向きが変わる。
見える化するとこうなる。
偶数回:D U D U(最後がUで終わる→次の頭はDで入りやすい)
奇数回:D U D(最後がDで終わる→次の頭がUに回りやすい)
つまり「奇数が悪い」んじゃなく、「小節の終わりの向きが、次の頭の向きに影響する」だけ。ここでポイントは、拍子の分数(3/4とか6/8)そのものじゃなくて、あなたが“どの粒で刻んで、どこを当てる設計にしたか”。だからこれは、拍子の問題じゃなく、右手の設計の話になる。

◾️大前提:右手の振り子は一定。迷うのは「鳴らす場所」だけ

まずここを固定する。ギターのストロークで一番大事なのは、右手の上下運動(振り子)を止めないこと。これが“時間のグリッド”になる。ここで混乱しやすいのは、ダウン=4分、アップ=8分、みたいに役割を決めたくなること。でもそうじゃない。ダウンもアップも「ただの向き」で、時間の粒(8分とか16分とか)に沿って交互に出てくるだけ。鳴らすか鳴らさないかは別問題。

◾️「8分で振る」ってどういう意味?

「8分で振る」は、右手の最小単位(振り子の刻み)を8分音符にするという意味。つまり1拍(4分)の中で右手が2回動く。ここで言う「2回」は、上下それぞれを1回として数える数え方で、具体的には「D(拍の頭)→U(&)」の2回。言い換えると、1拍の中に「D→U」という“1往復(半往復×2)”が入るイメージになる。だから4/4で8分で振るなら、数え方は「1 & 2 & 3 & 4 &」、右手は「D U D U D U D U」と一定に動き続けるし、3/4でも同じで「1 & 2 & 3 &」に合わせて「D U D U D U」と動き続ける。このとき重要なのは、DもUもどっちも「8分のタイミング」に並んでいること。たまたま拍の頭(1,2,3…)にDが来て、&にUが来るだけで、役割として「ダウン=4分」「アップ=8分」みたいに決まっているわけじゃない。最初をダウンで始めるから、見た目としてそう並んで見えるだけだ。

◾️混乱の正体:「振り子」と「鳴らす」を混ぜている

右手の振り子(D/Uの上下運動)は、8分で振るなら8分で、16分で振るなら16分で、一定に進む。ここはクリックみたいなもの。
でも、音として弦に当てる場所は、全部じゃなくていい。というか、ほとんどのバッキングは“鳴ってない場所”が大量にある。だから「空振り」が変とか、「休符を作ってしまう」みたいな感覚は、ここで誤解が起きている。空振りは“新しい休符を作る”んじゃない。もともと鳴らさない場所で、右手だけ通過させるだけ。時間をズラす行為じゃない。

◾️迷ったら:解決は2択(ただし、どっちも振り子は一定)

解決は2択だけど、どっちも共通して「右手の振り子は一定」。違うのは「鳴らし方」。
交互の見た目を保つ解決:鳴らさない振り(通過)で帳尻を合わせる
右手は上下を止めない。そのうえで、次の小節頭をダウンで入りたいなら、どこか1回だけ「鳴らさない振り」を挟んで向きを整える。これは休符を増やす話じゃない。もともと鳴らさない場所を“通過”するだけ。
音楽的に自然な解決:強拍はダウン優先。あとは鳴らす場所を選ぶ
ダウン/アップの交互を“音として”厳密に守ろうとしない。強い場所(山)はダウンで鳴らす。それ以外は軽く鳴らすか、鳴らさない。これが一番現場で通用する。

◾️「全部ダウンが最強」なの?

「全部ダウンで弾く」は確かにパワーが出る。パンクや強打系では武器になる。でも、初心者がまず安定するのは「振り子一定+鳴らす場所を選ぶ」方だ。
「強い音符はダウン、アップはその間の細かい粒に対応」という発想は実戦的で、3/4なら拍の頭(1,2,3)をダウンで鳴らして、&は必要に応じてアップで補助する(または鳴らさない)。6/8も同じで、山の頭をダウンでしっかり鳴らして、la/liは軽く足すか、通過させる。これでノリが出る。

◾️具体例:3/4のストローク設計(初心者用)

3/4は「1 & 2 & 3 &」で8分の振り子を作る。右手は常に「D U D U D U」。
鳴らす設計(ワルツ型):1のDを太く、2と3のDは軽く。&のUは軽く足すか、通過でOK。
これで「強・弱・弱」が出る。ここまで来たら3/4は一気に“曲っぽく”なる。

◾️6/8のストローク設計:ここが分かれば、もう迷子にならない(初心者〜中上級)

この記事で一番伝えたいのはここ。6/8が分からない理由はだいたい同じで、「6つ数える」ことに意識が吸われて、右手とアクセントの設計がバラバラになるからだ。6/8はまず“2拍”で感じる。これだけで半分勝ち。

6/8は「1 la li 2 la li」。山(強く感じる頭)は「1」と「4(=2の頭)」。言い換えると「(1-la-li) (2-la-li)」で、前半と後半に山が2つある。まずはこの“山が2つ”を体で掴む。

次に右手。右手は止めない。6つの粒でずっと上下する。ここで大事な事実がある。交互ストローク(D/U)で振り子を回すなら、最初をダウンで始めた瞬間、並びはこう固定される。
1=D、la=U、li=D、2=U、la=D、li=U。
つまり後半の山(4つ目=2の頭)がアップになるのは、むしろ自然に起きる形だ。ここで混乱しがちだけど、6/8で一番大事なのは「山が山として聴こえること」。山が必ずダウンじゃないとダメ、という話ではない。アップでも、音量と当て方で山は作れる。

ここからが“設計図”。順番はこれだけ。

①右手の振り子を決める:6つの粒で上下し続ける
数え方は「1 la li 2 la li」。右手はとにかく止めない。ここがグリッドになる。

②山を決める:山は1と4
「1」と「4(=2の頭)」が山。ここだけは必ず意識する。6/8が6/8になるのはここ。

③鳴らす場所を選ぶ:まずは“山だけ”で完成させる(初心者の最短ルート)
右手は振り続けたまま、音は「1」と「4」だけ太く鳴らす。他(la/li)は通過(鳴らさない振り)か、軽いミュートでOK。これだけで6/8の揺れは出る。ここまで来たらもう曲っぽい。

④慣れたら足す:la/liは“軽く”が鉄則(初中級の基本形)
山(1と4)は太く、それ以外は軽く。全部を同じ強さで当てると“6個の数え上げ”になってノリが死ぬ。足すなら、音量だけじゃなく当て方で差をつける(ブラッシング気味/高音だけ/ミュート混ぜ)。これで6/8が一気に大人っぽくなる。

⑤「4つ目アップ問題」はこう解く(中上級の整理)
交互ストロークで6粒を回す限り、後半の山(4つ目)がアップで来るのは自然。気持ち悪いのはリズムが崩れてるんじゃなくて、「山はダウンで叩きたい」という好みと噛み合ってないだけ。ここを無理やり“理屈で正そう”とすると迷子になる。だから解決はシンプルに2択でいい。

A)見た目の交互(D/U)を守りたいなら:山の前で「鳴らさない振り」を1回だけ挟む
右手の上下は止めないまま、山の直前のどこか1つを「弦に当てない(またはミュートで当てる)」にする。すると“音としては増えない”のに、手の向きだけが整って、次の山をダウンで入れられる。ここがポイントで、休符を作るんじゃない。もともと軽くしたい・鳴らさなくても成立する場所を「通過」にして、向きだけ帳尻を合わせる感じだ。

B)音楽的な気持ちよさを優先するなら:山はダウン固定で、交互を一瞬だけ崩す
「山はダウンで叩きたい」を最優先にする。その結果、どこかで“ダウンが連続する瞬間”が出てもOKにする。交互の見た目を崩すのが悪いんじゃなくて、山がちゃんと落ちる方がノリとして正解になることが多い。現場で通用するのはだいたいこっち。

どっちも目的は同じで、「山が気持ちよく落ちる」ように設計するだけ。正解は曲とノリが決める。

最後に一行でまとめる。6/8のストロークが分からない人がやるべきことは、「6個を全部きれいに当てる」じゃない。「2拍で感じて、山を1と4に置いて、他は軽く(または通過)」これだけ。ここが入った瞬間、6/8は迷子にならないし、曲のノリが手に入る。

◾️拍子が変わっても迷わない順番(最終チェックリスト)

① その拍子をどう感じるか決める(3/4は3拍、6/8は2拍、9/16は3+3+3が多い)
② 山(強拍)がどこか決める(そこはダウン優先)
③ 右手の最小単位を決める(8分で振る/3分割で振る/16分で振る)
④ その粒の中で、鳴らす場所を選ぶ(全部鳴らさなくていい)
⑤ 向きが気持ち悪い時だけ「鳴らさない振り」で整える
ここまで決まれば、アップだのダウンだので迷う時間が激減する。

ギターは、ひとつの認知と気付きで一気に上達できる。これまで何十年となんとなくやっていた人が、理論や理屈に合点がいったとたんにめっちゃくちゃトランスフォームするなんてザラだ。今日の記事はその類の記事になってくれたら嬉しい。生きる時間は限られている。その中で効率よく、豊かに、楽しみたいね。愛する家族と、愛と感謝を胸に。それでは。


松永 修 – MUSICおさむ

松永 修|MUSICおさむ|国家公務員|キャリコン|作家・メディアクリエイター/音楽クリエイター(シンガーソングライター)|DTM作編曲

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