日々のことば(ブログ)
✍️2025年10月 育児休業法改正──“3歳の壁”を越える両立支援、その実態と正体

✍️2025年10月 育児休業法改正──“3歳の壁”を越える両立支援、その実態と正体

おはよう。窓から見える空や子どもの声に耳を澄ませながら思うのは、やっぱり「家族と過ごす時間の大切さ」だ。僕には、幅広い年齢の子どもたちがいる。四半世紀レベルで、がっつり子育てに向き合ってきた実感としても、両立支援や働きやすさの景色は少しずつ、でも確実に良くなってきている。以前のブログでも少子化について書いたけれど、その歯止めの核心にあるのは、やっぱり「子育て期にどれだけ柔軟に働けるか」だと思う。両立支援は理念じゃなくて、毎日の暮らしを左右する現実の仕組みだ。

そこで今回は、両立支援の土台になっている制度──とりわけ育児・介護休業法を軸に、これまでの現行制度(とくに3歳未満)と、10月1日以降に始まる改正(3歳以上~就学前への拡大)を徹底的に追いかけてみた。民間と公務員の違い、非常勤の扱いまで含めて、昨日は条文・勧告・通達・条例・規則などを一気に読み込み整理した。

◾️現状:3歳未満に限られていた支援

これまでの育児・介護休業法では、配慮の中心は「3歳未満の子ども」を育てる親に置かれていた。所定労働時間の短縮制度、始業・終業時刻の変更、育児時間(授乳や看護のための時間)といった措置はあったが、それを超えると支援は途切れてしまう。

本来、第23条1項は「事業主に短時間勤務制度を設ける義務」を課している。しかし同時に除外規定が設けられており、一定の労働者については適用対象外とすることが可能になっている。つまり、制度は存在していても、対象範囲を狭める余地が広く残されている。さらに、除外された労働者には代替措置として「始業時間の変更等」を講じることになっているが、これも契約書や労働条件通知書に明記されていなければ権利として行使できない。結果的に、法律上は制度が整っていても、契約に書かれていなければ実効性を持たず、形式だけが残る状態にとどまってしまうのが現状だ。

その結果、3歳を過ぎた後も働き続けたい人にとって、雇用形態を変えずに柔軟な働き方を選べる仕組みがほとんど存在しなかった。結果として、パートや非正規に切り替えるなど雇用形態そのものを変えるしかなく、現状の契約を維持したまま両立のための選択肢が乏しいのが実情だった。

◾️令和7年10月1日からの改正:3歳以上にも広がる両立支援

今回の改正は、その“空白の数年間”に橋をかけるものだ。様々な改正の柱があるが、中でも注目されているのが「育児期の柔軟な働き方を実現するための措置」だ。

事業主は、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に関して、以下5つの「選択して講ずべき措置」の中から2つ以上を整備する義務がある。労働者は、その中から1つを選択して利用できる。なお、事業主がどの措置を整備するかを決定する際には、過半数組合などから意見を聴取する必要がある。

・選択して講ずべき措置

① 始業時刻等の変更。② テレワーク等(10日以上/月)。③ 保育施設の設置運営等。④ 就業しつつ子を養育することを容易にするための休暇(養育両立支援休暇)の付与(10日以上/年)。⑤ 短時間勤務制度

これにより、フルタイム相当の雇用契約を維持したままでも、子どもの成長段階に応じて柔軟な働き方を選択できるようになる。従来「3歳を過ぎれば選択肢がほとんどなくなる」という壁を取り払い、小学校入学まで切れ目なく支援が続く仕組みが改善される。

◾️民間と公務員の違い

注意したいのは、こうした改正はあくまでも「民間の労働者」に直接適用されるものだということ。原則として公務員は雇用均等三法の適用外で、国家公務員は人事院規則、地方公務員は各自治体の条例や規則で整備されている。

総務省は「民間と同様の取扱いを整備するように」と自治体に通知を出しているが、最終的に実効性を持つのは各自治体が条例や規則を改正したときだ。そのため制度の充実度には自治体ごとに差があり、現場に直接的な影響を与えている。

また、地方公務員の非常勤制度は国家公務員の非常勤制度に大きく影響を受ける。国家でまだ整備されていない制度は、地方にも波及しにくいという指摘もある。そのため非常勤職員については「育児短時間勤務が利用できない」「正規職員と比べて制度が不十分」といった声が残っている。もちろん職務の範囲や責任の違いから制度差に一定の合理性があるとする考え方もあるが、現場で働く人からすれば「不合理な差」と映ることも多い。この点は今後の大きな課題だ。

◾️国際的な動向:ドイツの例

ドイツではすでに「仕事と育児の両立」が労働政策の柱として定着している。たとえば「育児休業(Elternzeit)」は最長3年間まで取得でき、そのうち一定期間は給付金(Elterngeld)によって賃金の一部が補填される。また、子が3歳になるまでは法的に短時間勤務(時短勤務)を請求する権利が保障され、企業は正当な理由がない限りこれを拒めない。さらに父親の育休取得を促すため、両親が分担して休業すると給付期間が延びる仕組み(パートナーシップボーナス)まで整っている。

いわゆる“ドイツモデル”は、男女ともに育児に関わることを前提とした制度設計で、日本でも参考にされている。ただし文化的背景や社会保障制度が異なるため、日本はそのまま真似をするのではなく、日本社会の課題に即した工夫が必要になる。

今回の日本の改正も、こうした国際的な流れを意識しつつ、これまで弱かった「3歳以降~小学校就学前」の支援を厚くする方向に進んでいる。ただし、公務員、とりわけ非常勤層への波及はまだ途上であり、この差をどう埋めるかが次の課題だ。

◾️詳しく知りたい人へ

厚生労働省のホームページには、今回の育児・介護休業法改正に関するリーフレット、Q&A集、通知・通達といった公式資料が整理されている。まずはリーフレットで全体像をつかむと、制度の趣旨や改正のポイントが視覚的に分かりやすい。そのうえでQ&Aを読むと「こういう場合はどうなるのか」という具体的な疑問に答えてくれる。さらに通知や通達には行政としての解釈や事業主の対応指針が示されており、実務にも役立つ。

こうした情報は、個人の権利を正しく理解するだけでなく、職場での話し合いや改善提案の助けになる。制度の是非についてはここでは論じないが、正確な一次情報に触れることが、労使双方にとってフェアな議論の土台になると思う。

◾️おわりに

僕自身、日常的に労働関係法令と向き合う仕事をしているが、今回は隣接領域である「育児・介護休業法」を集中的に掘り下げてみた。国の法令や通知・通達はもちろん、自治体ごとの条例や規則まで一気に読み込み整理する作業は、知識の幅を広げるだけでなく純粋に楽しいものだった。

結局、マクロな制度の動きは、ミクロな家庭の日常に直結する。小さな子どもを抱えながら働くことは、誰にとっても切実で、愛する家族の未来につながっている。政治や政策を眺めることは遠い世界の話ではなく、自分の生活を守る行動そのものだと改めて思う。

さあ、今日も近くにいる家族も、離れて暮らす家族も、それぞれの名前や顔を思い浮かべながら、心の中で絆を確かめよう。愛している。心はひとつ。


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松永 修|MUSICおさむ

広島で、家族と日常を大切にしながら、音楽と文章をつくっています。作詞・作曲から、歌、演奏、録音、映像、発信まで、自分の手で育てています。音と言葉で、人生に小さな灯りを。

松永修が運営する個人事業「言と音LIFE BASE」の創作ブランドが「MUSICおさむ」です。

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