日々のことば(ブログ)

✍️素人っぽい歌をプロっぽい歌唱に変える3つのトリガーワード──響き・位相・うねり(歌がうまくなるコツ)

おはよう。今日も寒いね。歌うのって、やっぱり気持ちがいい。でも、音程もリズムもそれなりに合っているのに、なぜかうまく聴こえないことがある。どうせなら、ただ歌うだけじゃなくて「ちゃんとうまく」歌いたい。今日は、そんな違和感に向けて、僕なりに整理してきた“歌がうまく聴こえるコツ”をお伝えしようと思う。

今日伝えるのは、新しい知識じゃない。これまであなたが積み上げてきたものを、一瞬で呼び戻すための、MUSICおさむ流のトリガーであり、合言葉なんだ。

歌って、不思議なくらい「音程」や「リズム」だけじゃ決まらない。音程は合っている。リズムも外していない。なのに、どこか素人っぽく聴こえる。一方で、多少ラフでも「めっちゃうまい感じ」に聴こえる人がいる。僕は長く歌ってきて、その差を生む要素を、歌いながら一瞬で思い出せる“トリガーワード”として、3つに圧縮できるようになった。

響き。位相。うねり。

この3つを思い出すだけで、発声もノリも表現も、必要なものが全部戻ってくる。これは、知識として覚える言葉じゃない。自分の中の技術を呼び戻すためのスイッチだ。

ただし、先に言っておく。この記事を読んだ瞬間に、歌が上手くなるわけじゃない。響き一つ取っても、本来は何ヶ月も積み上げる領域だし、位相も、うねりも、それぞれ本が何冊も書ける。でも逆に言えば、ある程度積み上げてきた人ほど、この3語は刺さる。練習の中で散らばっていたピースが、一瞬で一本の線につながるからだ。

◾️歌がうまいかどうかは、まず「自分」が決める

歌がうまいかどうかなんて、現実的には人が決める部分もある。でも僕は、その前に、もっと大事な基準があると思っている。それは、歌っている自分自身が「今の自分、いいな」と思えているかどうかだ。自分が信じきれていない歌を、他人が強く感じ取ることはない。まず目指すべきは、誰かに褒められる歌声じゃなくて、自分の理想の自己像と一致した歌声だと思っている。

そして、ここが面白いところで、そういう自己一致が起きる瞬間って、能力が増えたというより、むしろ「戻った」という感覚に近い。響きも、位相も、うねりも、実はすでにある程度できていたのに、無意識のガードで封印されていただけ、ということが起きる。音程はバーに合わせなきゃいけない、外したらダメ、ズレたら失敗──そんな“正しさ”が、いつの間にか表現のブレーキになっている。だからこの3語は、細かい技を増やすためというより、封印を解くための合言葉でもある。

響け。合わせろ。うねれ。

自分に許可を出した瞬間、直線は曲線に、管理は解放に、正解は表現に切り替わる。すると歌いながらふと、「あれ?自分、めちゃくちゃうまいくない?」と思える瞬間が生まれる。これは自惚れじゃなく、自分の中の理想の歌唱像と、実際の歌が一致したサインだ。

◾️結論:うまい歌の正体は「響き・位相・うねり」の3点セット

僕の中では、上手く聴こえる歌はこの3つが揃ってる。
1. 響き(発声の土台)
2. 位相(曲と自分の波を合わせる)
3. うねり(音程とリズムを曲線で操る)
どれか一つだけでも良くなる。でも3つが揃った瞬間、「どこを切り取ってもうまい人」になる。逆に言うと、音程が合っててもリズムが合ってても、響きがなくて位相がズレてて、うねりがないと、なぜか“うまく聴こえない”。ここが本質。

◾️響き:発声のすべてが、この一語に詰まっている

正直、ここでつまずくのは当たり前だと思っている。「響かせろ」と言われても、最初は何をどうすればいいのか分からない。だからこそ、みんな発声を学ぶし、ここが一番“うまい人っぽさ”が出る最短距離でもある。

腹式呼吸、息の流れ、舌の位置、口の形、喉仏の位置、軟口蓋の位置。口腔や鼻腔の形。ミックスボイス、ミドルボイス、頭声(ヘッドボイス)、裏声、地声、エッジボイス、ウィスパー、ヒーカップ、息混じりの声……いろんなキーワードが浮かぶと思う。大事なのは、それらの言葉を知っているかどうかじゃない。実際に、自分の体で試して、迷って、身に染みるまで追い込んだかどうかだ。

僕自身も、自分で研究したり、人に教わったりしながら、長い時間この「響き」と向き合ってきた。でも、最後の最後に残る判断基準はシンプルで、「言葉が、音が、きれいに響いているかどうか」だけだった。理屈や名称は、そのための道具でしかない。

ここについては、ボイストレーニングに通ったり、自分で学んだり、みんな試行錯誤していると思う。僕のブログにも、発声や歌唱に関する記事はこれまでたくさん書いてきた。細かい話は、正直この一節では書ききれない。だから、この記事の一番下に関連する過去記事をまとめておく。きっと、今の自分に引っかかるヒントが見つかるはずだ。

ちなみに、この「響き」だけで、いわゆるボイストレーニング本は何冊でも書けると思っている。でも、僕はそれを売り物にするつもりはない。できるだけ利益や見返りを考えず、歌が好きな人たちが少しでも楽しく、少しでも豊かに歌えるように、こうして自分のウェブサイトの記事として無料で共有していきたいと思っている。必要な人に、必要なところだけ届いて、誰かの歌や日常が少し前に進むなら、それで十分だ。

◾️位相:ノリの正体は「波が噛み合ってるかどうか」

位相って、歌の世界ではあまり言葉にされない。でも僕にとっては、この一語で感覚を一瞬で呼び戻せる、とても大事なキーワードだ。音の波形を思い浮かべると分かりやすい。歌と同時に鳴っている他の音、伴奏、曲全体のイメージ。その位相が合うと、音は自然と前に出る。逆に合わないと、なぜかスッと消えてしまう。これは楽器や機材だけの話じゃない。歌でも、確実に起きている現象だ。

曲全体のノリ、グルーヴ、一体感。それは「気合い」でも「テンション」でもない。もっと小さいところの積み重ねだ。自分の声の入りと、伴奏のアタックが噛み合っているか。言葉の子音が、ビートの芯に座っているか。ビブラートの揺れが、曲の空気と馴染んでいるか。ここがズレると、妙に素人っぽくなるし、合うと急に“うまく聴こえる”。

完璧に一致させることは、正直できない。でも「合っている感覚」は、確実に存在する。そして上級者は、その合うポイントを体で掴んだ上で、あえてズラして気持ちよさを作ることができる。これができるようになると、歌は一瞬で“プロっぽく”聴こえ始める。

なお、これはボーカルに限った話ではない。僕の過去記事に、楽器やミキシングの視点から「位相」という概念を掘り下げたものがある。歌の話ではないけれど、位相という感覚を理解するうえでは、とても参考になるはずだ。興味があれば、あわせて読んでみてほしい。

(関連記事)✍️位相とは“波の呼吸”だ──キックとベース、そして歌の馴染みを変える音の哲学

分かりやすく言うと、位相は「自分だけの上手さ」じゃなく、「相互作用の上手さ」だ。曲と自分、他の楽器、そして空気。その全部が噛み合った瞬間、歌は自然に前へ出る。

◾️うねり:音程をバーじゃなく「曲線」で捉えると、人間になる

うねりという言葉が、専門的に正確かどうかは分からない。でも僕の脳内トリガーとしては、直線ではなく曲線を思い出させてくれるこの言葉が、一番しっくりくる。音程をカラオケの採点バーみたいに、一直線の棒として捉えると、歌は途端にロボットっぽくなる。音程が合っていても、どこか不自然になる。逆に、音程を「曲線」として捉えた瞬間、歌は急に人間らしくなる。

うねりの中に含まれているのは、ピッチ、しゃくり、こぶし、フォール、フェイク、ビブラート、少し遅れて入る、スイングする、抑揚をつける……そういった全部だ。音程、テクニックの名前に囚われる必要はない。大事なのは、「曲線としてデザインできているか」どうか。ここができると、歌は一気に自由になる。整いすぎた歌ではなく、血が通った歌になる。ロボットのような断続的な表情ではなく、生身の人間のような、連続した表情が立ち上がってくる。

そして、このうねりは単体の技じゃない。響きの上でしか成立しないし、位相がズレていると途端に気持ち悪くなる。だからこそ、この話は「うねり」だけでは完結しない。響き・位相・うねり。この3つが揃って、はじめて歌は生きたものになる。

◾️3つの関係:響きが土台、位相が調和、うねりが人間味

僕の中での整理は、こうだ。
響き=声そのものの品質(土台)
位相=曲との噛み合い(調和)
うねり=表情と欲望(人間味)いわゆる”味”があるってやつだ。

響きがなく、位相がズレていて、うねりもない歌は、音程が合っていてもリズムが合っていても、なぜか素人っぽく聴こえる。逆に、響きがあって、位相が合っていて、うねりがあると、どこを聴いても「この人うまいな」と感じる。ここが面白いところで、歌がうまい人というのは、難しい理屈を特別にやっているわけじゃない。この3つを、どのフレーズでも、どのタイミングでも、高い確率で再現できているだけなんだと思う。

◾️説得力の核心:「できるフレーズ/できないフレーズ」の差が消える

何も意識せずに歌っていると、「このフレーズだけうまい」という現象が起きやすい。たまたま響いた。たまたまハマった。たまたまうねった。だから聴いている側は、こう感じる。ここはうまいけど、次のフレーズで急に素人っぽくなる。これは才能の有無の話じゃない。再現の設計が、まだ言語化されていない状態なんだと思う。

響き・位相・うねりの3つを理解して、意識して、コントラストも含めて扱えるようになると、どのフレーズも同じ品質でコントロールできるようになる。だから、どこを切り取っても「この人うまいな」と感じさせる歌になる。さらに一段上の人は、位相をあえてズラしたり、うねりの難易度を自然に上げたりして、「うまさの種類」を増やしていく。強める、抑える、誇張する、協調させる。そういった表情の幅を、意図してデザインできるようになる。これが、いわゆる「テクニックが増える」という感覚の正体なんだと思う。

◾️今日からの実用:歌いながら自分に投げる3つの質問

ここからが一番大事だ。初心者にも玄人にも、このMUSICおさむ流の歌唱トリガーをいちばん分かりやすく伝えるなら、この形がいい。歌っている最中に、難しい理屈は考えない。自分に投げる質問を、3つだけにする。

① 今、響いてるか?(声がきれいか。無理していないか)
② 今、波が合ってるか?(伴奏と噛み合っているか。波が消えていないか)
③ 今、うねってるか?(棒じゃなく、曲線になっているか。表情があるか)

この3つだけでいい。これを回し続けるだけで、迷子にならず、自分の「うまさ」の中で、気持ちよく歌って遊び続けることができる。

補足として、もし具体的な戻り方を書くなら、こんな感じが現実的だと思う。

・響きが崩れたら、まず力を抜いて音量を下げる
(力んだり、大きくしないと響かない声は、どこかに無理がある)

・位相がズレたら、子音の位置やフレーズ全体の波のズレを疑う
(言葉の頭や音の揺れがほんの少しズレるだけで、ノリやグルーヴ、曲の雰囲気は一気に消えてしまう)

・うねりが消えたら、直線ではなく曲線を思い出す
(フレーズのはじまり、途中、語尾。すべてにおいてだ。直線縛りから自由になり、サンプリングされた不連続なロボットのようなピッチではなく、連続した生の人間のピッチに戻る)

細かい理屈はいくらでも語れる。でも、歌っている最中に自分を戻すなら、これくらいシンプルな“戻り方”がいちばん強い。

◾️番外編:弾き語りで歌が埋もれる人は「ミキシング感覚」を取り戻す

これは歌唱そのものとは別枠の話だけど、弾き語りの完成度を決定的に変える要素なので、あえて触れておく。特に初心者のうちは、ギターやピアノなど、一緒に鳴らす楽器の音を出しすぎて、結果的に歌を消してしまいがちだ。さらに、歌いながら演奏することで頭も体もいっぱいいっぱいになり、歌にも演奏にもダイナミクスや抑揚がなくなり、一音一音を大切にする余裕がなくなる。ここが変わると、弾き語りは本当に別物になる。

基本の感覚はシンプルだ。ボーカルは中心にいて、前に出る。一緒に鳴らす楽器は、そのボーカルに寄り添い、後ろから支える存在になる。歌が主役で、楽器は舞台装置。この感覚が体に入ると、弾き語りは一気に“プロっぽく”聴こえ始める。
(関連記事:弾き語りの音量/ダイナミクス/ミキシング感覚)
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◾️最後に:この3語は「覚える言葉」じゃなく「思い出す言葉」

響き・位相・うねり。これは新しい知識じゃない。これまで積み上げてきたものを、一瞬で呼び戻すための、僕なりのトリガーであり、合言葉だ。この記事を読んで、明日すぐ全部できるようになるわけじゃない。でも、すでに練習してきた人なら、今日から変わる可能性はある。練習の中で散らばっていたピースが、この3語で一本の線につながるはずだ。

僕自身、歌っている最中は、この3つを思い出すだけでいつも戻ってこられる。だからこの記事を、誰かに何かを教え込むためじゃなく、同じように歌を楽しんでいる人たちと共有する「指南」として残しておきたい。もしこれが、誰かの中で同じようにスイッチとして働くなら、それだけで十分価値があると思っている。

◾️もう一段だけ:言語化は「いつでも戻れる場所」を作る

もしこの記事をきっかけに、歌いながら自分で「今いいな」と思える瞬間が増えたとしたら、それは“新しく上手くなった”というより、もともとできていたものが解放された可能性が高い。だからこそ、他人の評価に依存しないでほしい。人の反応は人の好みもあるし、状況もある。でも、自分の歌が自分の理想と一致しているかどうかは、自分の中で確かめられる。

そして、こういう感覚は、放っておくとまた固くなる日が来る。だから僕は、感覚・身体・技術・思考を、MUSICおさむ流のトリガーワード「響き・位相・うねり」に圧縮しておく。調子が落ちても、迷っても、固くなっても、3語を思い出せば戻れる。歌っていて自分が気持ちいい状態に、安定して入れるようになる。

これは小さく見えて、実はかなり大きい。


さて、そんなことを考えながら、限りある命を、少しでも楽しく、豊かに、心地よく過ごしていこう。今日、この記事を読んで、何かひとつでも気づきはあっただろうか。ほんの少しでも、あなたの感じ方や行動が変わるきっかけになれたなら、僕はそれで十分だ。

今日も一生懸命に考えて、行動して、そして遊んでいこう。自分自身がそう生きること。そして、自分の周りにいる大切な人たちや、関わる人たち一人ひとりが、それぞれの場所で幸せになろうとしていることを尊重し、支え合いながら、みんなで少しずつ豊かになっていけたらいい。


松永 修 – MUSICおさむ

松永 修/音楽名義:MUSICおさむ(シンガーソングライター)/音楽と文章の作家/国家公務員/キャリアコンサルタント

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