日々のことば(ブログ)

✍️妻だけに背負わせない|制度の次は、夫の“覚悟”だ

おはよう。今日は前回の記事(✍️妻だけに背負わせない|両立支援は、家庭の中から始まる)の続編として、もう一段深いところを書いてみる。かなりメッセージ性が強い話になる。もしこの記事を読んでくれたのが奥様なら、できれば旦那さんにも一度だけ目を通すよう促してほしい。制度の話でも、家事のコツでもない。男の側の、奥底に残っている前提を問い直す話だ。


◾️まだどこかで「当然」と思ってないか

自分では平等のつもりでも、心の奥に「子育て期は、女性が働き方を抑えるもの」という前提が残っていないか。自己実現やキャリアは、子どもが落ち着いてからでいい。そうやって“順番”を妻にだけ押し付けていないか。
そして無意識に、こう思ってないか。俺は稼いで家に入れている。家事も育児も手伝っている。だから妻が調整するのは仕方ない、と。この「手伝っている」という言葉が、いちばん危ない。手伝いのままだと、責任者は妻のままだからだ。責任者が妻のままなら、妻のキャリアは止まる。止まるだけじゃない。削れていく。


◾️想像してほしい。自分がひとり親権者になったら?

男にしか効かない問いがある。もし離婚して、親権も監護も全部自分になったらどうする。一人で働きながら、毎日子育てを回すとしたら。朝の支度、送迎、病院、園や学校との連絡、突然の発熱、家事、寝かしつけ、土日の用事。全部だ。
その現実をリアルに想像すると、多分、背に腹はかえられず動く。転職も視野に入れる。人事に相談する。配慮を求める。働き方を変える。制度を調べる。取れるものは取る。どうやってでも回すしかないからだ。
それを、妻は今、やっている。“あなたが一人親権者になった世界”を、妻が一人で抱えている家庭は、実際に少なくない。その現実を想像できた瞬間、人は本気で動く。


◾️制度は整ってきた。あとは「覚悟のフェーズ」だ

昔は、男が休むとか早退するとか、空気的にも制度的にも難しかった。でも今は違う。制度はだいぶ整ってきた。使える休暇も増えた。柔軟な働き方も、少しずつ現実になってきた。社会は確実に前へ進んでいる。
今は、制度がないから無理なんじゃない。制度があっても、心が追いついていないから家庭が壊れる。いま問われているのは、結局ここだ。自分は変える側に回るのか。妻に調整を押し付け続けるのか。制度改革の次に必要なのは、運用じゃなく、人の覚悟だ。


◾️「平等」は予定表に出る

平等って、言葉だけなら簡単だ。でも本当の平等は、予定表に出る。責任の分担に出る。
家事をすることじゃない。育児をすることでもない。責任を引き受けることだ。
子どもが熱を出した時、どっちが休むのか。病院の判断を誰がするのか。園や学校の連絡を誰が受けるのか。送迎の責任者は誰か。土日の用事の段取りは誰か。家の締切管理は誰か。
これを妻に固定している限り、妻のキャリアは止まる。そして妻の人生は、ずっと「調整役」に封じ込められる。
表面上の協力でなく、「平等は、言葉じゃなく予定表に現れる」。実質的に、平等に負担を背負うことが大事だ。


◾️男性のウェルビーイングも、確実に増える

これは女性のためだけの話じゃない。男の幸福度も確実に上がる。子どもの成長が見える。子どもとの時間が増える。家庭の空気が変わる。夫婦の信頼が変わる。自分の人生の豊かさが増える。
自分のキャリアだけ守って、妻に働き方を抑えさせる。その結果、妻が消耗し、家がギリギリになり、夫婦関係が荒れて、子どもの空気も重くなる。そんな勝ち方は、結局負けだ。家庭を守る覚悟は、男の人生も豊かにする。このことを忘れないでほしい。


◾️最後に、今日からできる「一回」を決めよう

妻の我慢に、知らないうちに寄りかかってないか。一人の人生を犠牲にして、自分ばかり得をしてないか。「手伝ってるからいいだろ」と思ってないか。本当に、責任者として引き受けているか。
答えが苦しいなら、それがスタートだ。制度は整ってきた。あとは想像力と覚悟のフェーズだ。
ここで、きれいごとで終わらせないために、今日からできる「一回」を決めてほしい。次に子どもが熱を出したら、先に休むのは自分にする。次の迎えは、自分が行く。次の病院は、自分が連れて行く。次の面談の連絡は、自分が受ける。
の“一回”が、家庭の空気を変える。妻の焦りを減らす。自分の中の前提を壊す。そして何より、子どもとの時間が増える。自分の人生も、確実に豊かになる。


◾️両立支援をやり切るには「キャリア観」から変える必要がある

男が両立支援に踏み出せない理由は、時間の問題だけじゃない。多くは怖さだ。評価が下がるかもしれない。昇格が遅れるかもしれない。周りに何か言われるかもしれない。自分の居場所が揺らぐかもしれない。
だから「協力はする。でも働き方は変えない」が出てしまう。結果、妻に調整を押し付ける。これを断ち切るには、夫側の“キャリアの定規”が変わらないといけない。

僕が強く重ねたのが、ダグラス・ホールが言うプロティアン・キャリアの考え方だ。キャリアの主体は組織じゃなく個人で、核になる価値観は昇進や権力じゃなく自由と成長。そして評価軸は地位や給与だけじゃなく、心理的成功をどれだけ得られているか、という見方だ。心理的成功って、きれいごとじゃない。自分を尊敬できるか。自分は何がしたいのか。いまの選び方は、家族と自分の人生を壊してないか。そういう問いに胸を張れるか、という話だと思う。

この定規に切り替わると、両立支援の景色が変わる。
つの組織の都合だけで家庭を犠牲にしなくていい。学び直しや資格、経験の積み上げで市場価値を高め、役職だけに依存しない選択肢を増やせるなら、堂々と両立支援を実践できる。両立支援は“弱さ”じゃなく“戦略”になる。


◾️夫婦でキャリアを考えるのは「ライフキャリア」そのものだ

もう一つ、今の時代にそのまま刺さるのが、L・サニー・ハンセン(女性の名誉教授)の統合的ライフ・プランニングの考え方だ。キャリアを仕事だけで捉えず、人生の役割全部を統合して考える。
仕事(Labor)
学習(Learning)
余暇(Leisure)
愛情(Love)
この4つが、パッチワークみたいに縫い合わさって初めて、人生は全体として前に進む。

そしてハンセンが一貫して言っていたのは、家庭と仕事を結びつけて考えることの重要性だった。キャリアを個人の問題で終わらせず、家庭という現実の中で設計し直す。ここに、男女の共同というテーマがまっすぐ入ってくる。
家庭の中で、男性と女性が共同でキャリアプランニングを行うこと。つまり、どちらかが犠牲になる前提で回すのではなく、夫婦で“人生のパッチワーク”を縫い合わせること。これが現代のライフキャリアだと思う。

キャリアは仕事だけで決まらない。家族のあり方で決まる。日々の運用で決まる。だからこそ、男女共生の話は、理念じゃなく生活の話なんだよね。


◾️これからの時代、かっこいい男は「両立支援を実践できる男」

これからは、学び直しや資格で市場価値を高め、組織の役職だけに依存しない生き方を作っていこう。プロティアン的に、心理的成功を大事にする男になっていこう。そしてその上で、夫婦の両立支援についても、職場で堂々と主張し、必要な制度を使い、家庭の責任者として動ける男になっていこう。

かっこよさは、家の中で証明される。

一つの組織のニーズに縛られて、家庭を犠牲にする男は、もう古い。
家族を守れる男が、結果的に自分の人生も守れる。
妻の人生を尊重できる男が、結果的に家庭の幸福も引き寄せる。
男のウェルビーイングは、仕事だけで決まらない。家の中の覚悟で決まる。

さあ、今日も。妻だけに背負わせない。男も当事者として責任を引き受ける。夫婦でキャリアを設計する。そういう家庭が増えることが、社会の前進にもなるし、俺たち自身の人生も豊かにする。愛と感謝を胸に、今日も精一杯やっていこう。


松永 修 – MUSICおさむ

松永 修|MUSICおさむ|国家公務員|キャリアコンサルタント|作家・メディアクリエイター/音楽クリエイター(シンガーソングライター)|IT・AI設計・コンサルタント

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