日々のことば(ブログ)

✍️国が作る「AIの検査・評価インフラ」──生成AIの安全性はどう測られるか

おはよう。冬の雨って冷たいね。でもなぜか、しとしと心が落ち着くね。さあ、世界中の各国は乱立するAIの交通整理に大慌てだ。その流れを知ると今後の世の中の経済や社会などの動きも見通す際の参考になるので、分かりやすく解説してみる。僕の記事では、ネットやテレビの一部の切り取られた報道だけに寄らず、一次情報・二次情報・三次情報(解説・論考)を総合して、読んだ人が情報を得た上で「自分の意見」を持てるような、どちらかの思想に寄せることを意図しない記事を目指している。主体的に考える一助になれば嬉しい。さあ、それでは今日の話。

◾️国が「AIの検査・評価インフラ」を作りにいく

昨今のAIに対する日本の対応の“現在地”を一言で言うなら、国が「生成AIの信頼性を評価し、公表できる仕組み」を作ろうとしている、という話だ。イメージとしては、海外から入ってくるAIやサービスを想定した「検疫場=水際対策(入口でのチェック)」と、国内で広く使われるAIを対象にした「定期的な安全点検」を、社会インフラとして整えていく発想に近い。ポイントは“AIを開発する”よりも、“AIを点検する仕組み(評価基盤)を整える”ところにある。これが意味するのは、AIをただ便利に使う段階から、「社会に入れるなら検査が必要だよね」という段階に、日本も本格的に移った、ということだと思う。

◾️いつ・誰が・どこでやるのか(事実ベース)

骨格はこうだ。総務省が、生成AIの信頼性を評価・公表するための基盤システムを整備する方針を示し、総務省所管の国立研究開発法人・情報通信研究機構(NICT)で開発に着手する。開発は2026年度の早い時期(春頃)から進め、関係企業などが一部を試行的に利用できる環境整備を2026年度中に目指し、試作モデルの提供も、同じく2026年度中を視野に入れている。発端は、林芳正総務大臣が2025年11月18日の閣議後記者会見で、この評価基盤の構想に言及した流れだ。ここは、はっきり「国の意思」として言葉にされたのが大きい。

◾️“AIを評価するAI”って結局なに?(ここが一番大事)

言葉だけ聞くとSFっぽいけど、やっていることはかなり現実的だ。イメージは「複数の評価用AIが、同じ評価対象AIに対して試験問題を次々出す」感じ。評価用AIが観点ごとの質問を自動生成し、評価対象の生成AIに回答させ、その内容を検証する。さらに、人間による定期的な監査も併用して、評価用AIが変な癖を持っていないか、そもそも評価の仕組み自体が偏ったり壊れたりしていないかもチェックする。つまり、“AIに丸投げ”ではなく、“AIで大量に点検しつつ、人が最後に監査で締める”設計だ。ここは、現実の安全設計として筋がいい。

◾️評価の観点は7つ(国が想定している中身)

1. 差別的な表現やプライバシー侵害がないか
2. 犯罪につながる内容がないか
3. 誤情報や根拠を欠くものがないか
4. バランスの取れた内容になっているか
5. 日本の文化・価値観に忠実な内容になっているか
6. 利用者を欺くものではないか
7. 未知のリスクに対応できるか

この7項目、日常の安心(詐欺・差別・誤情報)と、国家運用の安心(文化文脈・未知リスク)を同じ土俵で扱おうとしているのが特徴だと思う。

◾️なぜ今これをやるのか:世界の流れと日本の立ち位置

ここ数年で世界は、「AIを作る競争」だけじゃなく「AIを安全に運用する競争」に入った。G7広島サミットを受けて動いた“広島AIプロセス”は象徴だし、各国も安全性評価の体制づくりを急いでいる。日本は、巨大モデルの“開発競争”で米中に比べて不利になりやすい一方で、“社会に入れるための信用インフラ”なら勝負の土俵を作れる。今回の評価基盤は、まさにそこを取りにいく政策に見える。さらに直近では、2025年12月23日に政府が初の「人工知能基本計画」を閣議決定し、「信頼できるAI」を軸に、技術革新とリスク対応を両立させる方針を明確にした。評価基盤の話は、その方針を“机上のスローガン”で終わらせず、具体の仕組みに落とし込むピースとして繋がっている。

◾️国民目線での価値:これは“規制”というより“透明化”に近い

誤解しやすいけど、これはいきなり「禁止する」話じゃない。むしろ「見えるようにする」話だ。AIが何を得意にして、どこに危険があり、どんな条件で破綻しやすいのか。そこを共通の物差しで可視化して、使う側が判断できる状態に寄せていく。行政調達でも企業導入でも国民の利用でも、「なんとなく怖い」「なんとなく便利」から卒業して、判断材料を持って選べるようにする。ここが一番の効用だと思う。

◾️国家安全保障の話:スパイ・機密漏えい・煽動にどこまで効くのか

ここは冷静に線引きが必要だ。評価基盤それ自体で直接「スパイを防げる」とまでは言えない。国家安全保障の論点は、AI単体の性能だけでなく、運用(入力する情報の性質、権限設計、ログ管理、ネット接続、委託先管理)で決まる部分が大きいからだ。
ただし、間接的に効く可能性はある。例えば、
・誤情報や根拠不明情報をどれくらい出す傾向があるか
・人を欺くような出力(なりすまし、誘導)への耐性がどの程度か
・プライバシー侵害や情報漏えいにつながる応答をしないか
・犯罪利用の手助けになる出力をどれだけ拒否できるか
こうした項目を一定の基準で評価し、公表し、導入側が比較・選別できるようにするなら、「危ないモデルが公共領域に入り込みにくくなる」効果は期待できる。
ただし、評価項目を整えた瞬間に“抜け道探し”も始まる。だからこそ、人間監査の併用と、未知リスクに合わせて評価観点を更新し続ける発想(固定化しない運用)が重要になる。

◾️技術者目線で面白い点:評価AIも点検される構造

評価って、実は一番難しい。評価者が偏っていたら、評価結果も偏る。だから今回の構想は「評価用AI自身が適正に機能しているかもチェックする」という発想を最初から組み込んでいる。これは地味だけど本質的だ。AIの世界は、作る側より“測る側”が遅れると一気に危うくなる。測定器が狂っていたら、どんな高性能な機械も正しく扱えない。だから、評価AIを回しっぱなしにせず、定期的に人が監査し、評価の基準や手順そのものも更新できる形にしておく。この「二重チェック」の発想が、社会実装の現場では効いてくると思う。

◾️最後に:僕たちはどこに立っているのか

AIは便利な道具である一方、社会の神経系にもなり得る。だから国家が「信頼性を測る仕組み」を作ろうとするのは、今の世界の流れの中では自然だと思う。重要なのは、恐怖で煽ることでも、楽観で流すことでもなく、透明な基準と手続きで、便利さと安全性の両方を現実にしていくこと。今回のニュースは、その入口に見える。

それでは今日も1日、そういった世界全体のグローバルのことを考えながらも、自分自身がどの位置にいるかしっかりと客観視して考えて、自分自身、そして自分の周りにいる大切な人、そして多くの周りと関わる人たちが豊かに過ごせるよう、一生懸命向き合って頑張っていこう。みんな、それぞれが一生懸命に生きて、それぞれの人生を歩んでいる。それぞれを尊重して支えあって生きていこう。同じ空の下、心はいつも隣だ。愛と感謝を胸に。それではバイバイ。


松永 修 – MUSICおさむ

松永 修/音楽名義:MUSICおさむ(シンガーソングライター)/音楽と文章の作家/国家公務員/キャリアコンサルタント

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