日々のことば(ブログ)

✍️「Society 5.0」が描く医療の未来──AIとデータ連携が変える“すでに始まった日常”

おはよう。今日も雨上がりの朝。目立った台風被害もなく一安心だ。さて、先日からAIの話題について触れてきたけれど、今日はその続きを綴っていきたい。

日本が掲げる「Society 5.0」という構想を手がかりに、僕らの暮らしや医療がどう変わっていくのかを眺めてみようと思う。僕自身も年齢を重ね、定期的に病院に通うようになってきた。診察券や紹介状を手に病院を行き来する日常の中で、テクノロジーがどう変えていくのかがますます気になっている。

◾️Society 5.0の位置づけ

社会の歩みを振り返ると、狩猟採集が1.0、農耕が2.0、工業が3.0、そしてコンピュータやインターネットが広がった情報社会が4.0と整理できる。その先にあるのがSociety 5.0だ。4.0が「集めた情報をどう活用するか」を追い求めたのに対し、5.0は「情報を人のためにどう活かすか」という発想に立ち返っている。サイバー空間と現実を結び合わせ、経済成長と社会課題の解決を同時に進める人間中心の社会像。対象は医療だけでなく、移動や教育、エネルギー、防災など生活基盤全体に及ぶ。そのゴールはウェルビーイング。誰もが自分らしく健やかに生きられる状態、を社会の目的に据えることだ。

◾️どこから生まれた構想か

つまり、僕の専門分野なので詳しくつい長々と語りたくなるのだがポイントを押さえて出来るだけ短くまとめる。Society 5.0、この言葉が政策に登場したのは、第5期科学技術基本計画(2016–2020年度)だ。少子高齢化や労働力不足といった課題に応えるため、「超スマート社会(Super Smart Society)」の実現を掲げている。その後の第6期(2021–2025年度)では、医療や教育、モビリティなど分野ごとに具体化が進み、データ連携と制度整備を両輪に実装段階へと動き出した。「これは単なる流行り言葉じゃなくて、10年以上続く政策の柱なんだ」ということだ。

◾️遠隔診療という入口

Society 5.0を最も身近に感じられるのはオンライン診療だ。日本では恒常制度として定着し、一定の条件を満たせば初診からも利用できる。自宅から診てもらえるのは、子どもを抱える世代や高齢の方にとって大きな助けになるだろう。僕自身、子どもを連れて病院に行くと待ち時間だけでぐったりすることがあったが、こうした仕組みが広がれば負担は確実に減る。もちろん制限もある。一部の薬は処方できないし、通信の暗号化や本人確認、多要素認証などセキュリティ要件も細かく決められている。制度は「便利さを広げる」と同時に「安全や公平を守る」方向へ少しずつ更新されている。

◾️医療データの共有基盤がつくる新しい導線

診療の質や体験を底上げするには、データが安全に流れる仕組みが欠かせない。全国医療情報プラットフォームの整備が進んでいて、診療情報提供書や健診結果、退院サマリーなどに加え、傷病名や薬剤アレルギー、検査、処方などの“6情報”を、本人の同意のもとで参照できる世界を目指している。電子処方箋の普及も進み、薬歴の重複をシステムがチェックできるようになった。2025年9月からは、準備が整った医療機関から順に、スマホに搭載したマイナ保険証で受付・資格確認を済ませられる。僕もこれまで転院のたびに紙の紹介状を抱えて移動したが、こうした仕組みが広がればその負担や不安は大きく減ると実感している。

◾️AIが現場にもたらす変化

AIはもう臨床に入っている。脳のMRA画像から未破裂脳動脈瘤を検出するソフトは2019年に承認され、医師の読影を補助している。内視鏡でも、早期胃がんの疑いを検出して注意を促すプログラムが承認され、見落としを減らす“第二の目”として使われ始めた。僕もこのニュースを見たとき「もうここまで来ているのか」と驚いた。さらに在宅医療では、持続血糖モニタ(CGM)が日常的に血糖を測り続け、異常を早めに察知する基盤になっている。AIは人間を置き換えるのではなく、医師や患者を支える“補助役”として設計されている。

◾️国際的なルールづくりと信頼の設計

生成AIーー画像や音声、テキストをまとめて扱えるLMM(Large Multi-modal Models)――の医療活用について、WHOは2024年に倫理とガバナンスの指針を公表した。柱は「人の関与」「透明性」「リスク管理」の三つだ。僕が調べて印象的だったのは、この指針が単なる理想ではなく、開発・提供・運用の段階ごとに責任を分けて示している点。日本の議論とも歩調が合っていて、方向性は世界とズレていないと感じた。医療は命に関わる分野だからこそ、“便利だから使う”のではなく“安全に使い切る仕組みを先につくる”ことが大切だと思う。

◾️経済・産業の側から見た“うねり”

政策は産業の動きとも呼応している。経産省の「医療機器産業ビジョン」では、SaMD――アプリやソフトを医療機器として承認する仕組み――やAI活用を成長分野に位置づけ、臨床試験のエビデンス作りや海外展開の重要性を繰り返し強調している。規制面でもPMDAが「治験エコシステム」を立ち上げ、Single IRB(倫理審査の一本化)などを通じて、品質を落とさずに審査から実装までの時間とコストを短縮しようとしている。僕はこうした流れを追っていると、日本が医療AIを研究テーマに留めず、産業として本気で育てようとしていることをひしひしと感じる。

◾️これからの生活の風景

外来に向かう前、スマホの中には健診結果や薬歴が整理され、受付ではスマホのマイナ保険証で資格確認が一瞬で済む。診察室ではAIが症状や検査値の要点をまとめ、医師は本質的な対話に集中できる。自宅では小さなセンサーが血糖や心拍を測り、異常の兆しがあれば“人の目”に届く形で早めに共有される。僕も病院に通うたびに紙の検査結果を抱えていたが、こうした仕組みが整えば、不安や手間は確実に減るだろう。これは「夢物語」ではなく、制度と承認実績に支えられた“近い将来の標準装備”としての姿だ。

◾️残る課題も正面から

データのプライバシーとセキュリティは最優先で守り続ける必要がある。都市と地方、年齢や障害によるデジタル格差も埋めていかなくてはならない。高齢の方にとって“誰でも使える設計”にするユニバーサルデザイン、利用時の同意や透明性の仕組み、そして「AIが助言し、人が決める」という役割分担の明確化。この三つはSociety 5.0の「人間中心」を現実にするための要石だ。僕も身近でデジタルに不慣れな人が戸惑う姿を見てきたからこそ、この課題を置き去りにしないことが大事だと思う。

◾️未来はすでに始まっている

Society 5.0の医療は、電子カルテ情報共有や電子処方箋、スマホ保険証といったデータ基盤の上に、AIの“裏方力”(要約・検出・見落とし防止)が重なり、遠隔と対面が状況に応じてシームレスにつながるところまで来ている。未来は遠い話ではなく、僕らの生活の延長線上に静かに姿を現し始めている。病院に行くたびに「少しずつ変わってきているな」と思う瞬間が増えてきた。

さて、今日もそんな人類の文化やテクノロジーの進化を楽しみながら、目の前の生活にどう置き換えて豊かにできるか考えながら今日も生きていく。毎日が楽しい。子どもたちや家族の顔を思い浮かべるだけで、僕は強くなれる。それぞれがそれぞれの人生を生きて、強く生きる姿を誇りに思うし、信じてもいる。

今日も同じ空の下で、愛してるよ。バイバイ。


松永 修 – MUSICおさむ

松永 修|MUSICおさむ|国家公務員|キャリコン|作家・メディアクリエイター/音楽クリエイター(シンガーソングライター)|DTM作編曲

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