おはよう。今日はすっかり秋の晴れを感じさせてくれる朝だ。そんな日の始まり、僕はキッチンで朝食を作りながらテレビをつけた。ニュースに飛び込んできたのは、「台風15号(ペイパー)」の発生と接近の話題だった。ああ、今年もこの季節が巡ってきたか、としみじみ思う。自然は優しくも厳しく、毎年同じようにリズムを刻んでくる。子どもの頃のように「学校が休みになるかも!」と胸を躍らせる僕はもういない。ただ、自然のほとんど規則正しい巡りの中に、僕らの安心も脆さもあるのだと感じる。
◾️子どもの“ワクワク”と大人の覚悟
小学生のころ、台風が来ると停電になるのが楽しみだった。家の中が暗くなった瞬間、懐中電灯を取り出して影絵をしたり、兄弟と笑いながら遊んでいた。大人たちは心配そうにニュースを見ていたけれど、僕にはそれが小さな冒険のようで、胸がワクワクして仕方なかった。でも時が経ち、僕はその“冒険”の裏側を目の当たりにするようになった。豪雨災害で地元の友人を一人失い、街が一夜にして壊れる姿を見てしまった。以来、台風はワクワクの対象ではなく、命を脅かす脅威として記憶の奥に刻まれた。
◾️台風の仕組み
台風が発生する背景は科学的にきちんと説明できる。暖かい海の水が蒸発し、その水蒸気が上空で雲になり、凝結する時に熱が放出される。この熱が渦を生み、巨大な低気圧が形成される。つまり台風は、地球という惑星が熱のバランスを取るための“循環装置”でもある。でもその循環が、僕たちの日常を一瞬で奪い去る力になるのも事実。だから僕らは、ただ畏れ敬い、備えなければならないと思う。
◾️日本の台風史の教訓
図書館に行って台風の歴史をトコトン調べてみた。日本を襲った台風の歴史をひもとくと、その爪痕はあまりに深い。1959年の「伊勢湾台風」ではおよそ5,000人が亡くなり、30万を超える家屋が破壊された。1945年の「枕崎台風」は戦後間もない九州を直撃し、2,000人を超える犠牲者を出した。そして1954年には北海道の青函連絡船「洞爺丸」が沈没し、1,400人近くが亡くなる「洞爺丸台風」が起きている。これら「枕崎」「洞爺丸」「伊勢湾」の3つは「昭和の三大台風」と呼ばれ、日本人に自然災害の恐ろしさを突きつけた象徴だ。さらに1934年の「室戸台風」では3,000人以上が命を失い、1828年の「シーボルト台風」では19,000人に迫る犠牲者が出たと言われている。こうした数字は冷たい統計のように見えるかもしれないが、その一人一人が家族を持ち、生活を営んでいた現実を思うと、自然の脅威が人間に与えてきた重みがより鮮明に浮かび上がる。
◾️近年の台風被害
そして記憶に新しい現代の台風被害も忘れてはならない。2018年の「平成30年7月豪雨」では西日本を中心に死者200人を超える大災害となり、台風や梅雨前線による豪雨が都市部でも甚大な被害を引き起こした。同じ年の「台風21号」は非常に強い勢力で関西を直撃し、大阪湾の高潮で関西国際空港が水没するという衝撃的な光景を残した。2019年の「令和元年東日本台風」は関東から東北にかけて広範囲で河川が氾濫し、千を超える住宅が全壊、100名近くが命を落とした。そして2022年には「台風14号」が観測史上初めて鹿児島に上陸した後、日本列島を横断し、広範囲に暴風雨をもたらした。これら直近の災害は、現代の日本でも台風が依然として“生きた脅威”であることを示している。
◾️豪雨と土砂災害の恐ろしさ
台風は強い風とともに、必ず大量の雨を伴う。その雨が時に命を奪う土砂災害を引き起こす。忘れられないのは2014年8月20日未明のことだ。僕の地元、広島市の安佐南区から安佐北区にかけて局地的な豪雨が降り注ぎ、背後の山々が一斉に崩れ、大規模な土石流が同時多発的に発生した。八木や山本、緑井、可部といった住宅地の裏山が一瞬で崩れ落ち、家々を飲み込んだ。広島市災害対策本部のまとめでは、わずか2日後の8月22日時点で、170箇所の土砂崩れ、道路や橋の被害は290箇所にのぼっていた。あの災害は台風ではなく局地的豪雨によるものだったが、台風がもたらす雨もまた同じ危険を孕んでいる。僕の親しくしていた友人もその時、家ごと生き埋めになり、帰らぬ人となった。数日前に彼の家で笑い合った記憶が、瓦礫の下に呑み込まれてしまったのだ。この体験を胸に、僕は災害の痛みを一生忘れることはできない。
◾️台風15号の最新情報
そして今、2025年の「台風15号(ペイパー)」が進んでいる。4日未明に奄美大島の東で発生し、発生からわずかの時間で急速に北上している。中心気圧は1002ヘクトパスカル、最大風速は18メートル、瞬間的には25メートルに達しており、今晩には九州に接近する見込みだ。その後、5日には四国や近畿に近づき、本州の太平洋側をなぞるように進む可能性が高い。台風の接近前からすでに大気は不安定で、線状降水帯が発生し、局地的に記録的な大雨となる恐れもある。河川の氾濫、土砂災害、停電――最新情報を確認することが命を守る第一歩だと強く思う。
◾️防災の呼びかけ
だからこそ、僕はこうして言葉にしている。水や食料、バッテリー、懐中電灯といった当たり前の備えを増やすこと。家族で避難経路や集合場所を話し合うこと。特に高齢者や子どもなど弱い立場の人々をどう守るかを考えておくこと。これらは大げさな準備ではなく、日常の延長として誰にでもできることだ。僕は豪雨で友人を失った経験を忘れない。その記憶がこうして防災を語る僕の根っこになっている。そして、誰かがこれを読んで「今日は非常袋を点検してみよう」と思ってくれるなら、その行動は友人の命が今も生きている証になる。
さて、今日もいつものように日常をこなしながら、同時に世の中の“状況”に敏感でいたい。臨機応変に対応しつつ、やるべきことに集中して。自己実現に向けて一歩ずつ歩みながら、楽しむことを忘れない。
僕だけではなく、家族も仲間も、それぞれの場所で泣き笑いしながら一生懸命に生きている。その姿を僕は誇りに思い、尊敬し、そして愛している。同じ空の下で心は隣にある。バイバイ、ありがとう。
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