おはよう。今日は三連休の真ん中。ふと鏡を見たとき、根元に光る白が少し増えた気がした。あぁ、また増えたな──そんなふうに思う瞬間って、少し切なくもある。白髪というのは、「老い」や「疲れ」という言葉を連れてくることもあるけれど、実はそれ以上に、自分の“時間”を感じさせてくれる存在なのかもしれない。見方を変えれば、それは心の鏡でもある。どう受け止めるかによって、気持ちは少しだけ違って見える。今日はそんな“白髪”とどう付き合っていくかを、科学と心の両面から考えてみたい。
◾️白髪は「途中で白くなる」のではなく、「白く生まれる」
白髪は、黒い髪があとから色あせていくわけじゃない。毛根の奥には、髪をつくる毛母細胞と、色を生み出すメラノサイトという細胞が隣り合って存在している。髪の色は、この二つの細胞が協力してメラニン色素を送り込むことで決まる。ところが、加齢やストレス、紫外線、睡眠不足などの影響でメラノサイトの働きが止まると、髪は色を持たずに生まれてくる。つまり白髪は「白くなった毛」ではなく、「最初から色を持たずに生まれた毛」だ。根元から白く伸びていくのはそのためで、途中から色が抜けるわけではない。
◾️なぜメラノサイトは止まるのか
近年の研究では、毛根の中にある「メラノサイト幹細胞」が、年齢やストレスによって減少・枯渇することがわかってきた。強いストレスで交感神経が過剰に働くと、活性酸素が発生し、この幹細胞が損なわれることもあるという。また、ビタミンB群や銅、亜鉛などの不足、血行の滞りも関係している。つまり白髪は、心身の年齢とバランスを映す“鏡”のようなもの。体の内側と外側、どちらにも静かに影響を受けながら現れてくる。
◾️白髪をどう扱うか──抜く・染める・放置、それぞれの選択
医学的に見れば、「抜く」のは避けたほうがいい。毛根には髪を生み出す幹細胞もあり、強く引き抜くことで炎症や毛穴の変形、薄毛の原因になることがある。数本なら根元からカットするだけで十分だ。美容の面から見れば、少数なら切るかコンシーラーで隠す、増えてきたら“ぼかし染め”や“ハイライト”で自然に馴染ませる、髪をいたわりたいならヘナやカラートリートメントを使う──そんなやり方が無理なく続けられる。最近では、白髪を「隠す」より「生かす」人が増えている。社会全体が少しずつ“変化を受け入れるやさしさ”を持ちはじめたのかもしれない。
◾️白髪には大きな個人差がある
白髪は年齢だけでなく、体質や遺伝、生活環境によっても大きく異なる。若くして白髪が多い人もいれば、年齢を重ねても驚くほど少ない人もいる。どちらも優劣ではなく、その人の“体と心のリズム”を映しているだけだ。同じ年でも、ストレスや食生活、睡眠、ホルモンバランスによってメラノサイトの働きは変わる。だから「白髪が早い=老けた」なんてことは決してない。それぞれの髪が、それぞれの時間を語っている。白髪の出方もまた、生き方のひとつのリズムなんだと思う。
◾️心理学的に見る「白髪」との付き合い
心理学でいう“自己受容”とは、変わりゆく自分をそのまま認める力のこと。カール・ロジャースは、人が本当に安らかでいられるのは「あるがままの自分を受け入れたとき」だと言った。白髪を受け入れるというのは、まさにその実践かもしれない。他人との比較(社会的比較)から離れて、「自分の今」を静かに見つめ直すきっかけになる。それは「老い」ではなく「成熟」への移行であり、心のしなやかさの表れだと思う。心理的に見れば、白髪は“自己肯定のバロメーター”でもある。鏡の中の自分に「これも悪くない」と微笑めるようになると、人は少し自由になれる。
◾️白髪は「時間の証」
僕は、白髪って老いのサインじゃなくて、人生の積み重ねだと思っている。仕事も家族も挑戦も、喜びも苦しみも、その全部を経て少しずつ色を変えていく。それを恥じることはない。「よくここまで生きてきた」と、髪が静かに語りかけてくれている気がする。隠すでも誇るでもなく、自分のペースで受け入れていけばいい。白髪もまた、自分を映すひとつの表情だ。そこに宿る時間や想いを思えば、自然と心がやわらかくなる。
これからも、自分の「時間」とやさしく付き合っていけたらいい。
さぁ、今日も愛する人と、同じ青空の下。
いつも心は隣にある。愛している。ありがとう。
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