おはよう。
今日はとても秋晴れだ。ついにもう冬の入り口というか、夏の面影はもうない。朝晩は肌寒くなって、外を歩けば金木犀の香りも薄れた。体調を崩している人も多い季節だから、みんなも気をつけて。
さて今日は、人間がいつの時代も避けて通れなかったテーマ──「権力」と「お金」、その二つにまつわる欲望について話したい。これは、宗教が生まれる前から人の心に宿ってきた“根源的な衝動”であり、同時に人間社会を形づくってきた原動力でもある。
◾️権力とお金が持つ「麻薬性」
心理学的に言えば、権力や富を得たとき、人の脳内では「ドーパミン」や「セロトニン」といった報酬系ホルモンが大量に分泌される。
つまり、人間の脳は「支配する」「所有する」「優位に立つ」といった行為に対して“気持ちいい”という信号を送るようにできている。
この快感は、薬物依存と似た構造を持つ。報酬を得るたびに閾値が上がり、次第に同じ刺激では満足できなくなっていく。やがて、もっと多くの富を、もっと強い地位を、もっと高い称賛を求めるようになる。
それが「コンフォートゾーンの拡大」だ。最初は小さな成功でも幸福を感じていたのに、あるラインを超えると、それが“当たり前”になってしまう。満足の基準が上がり続けることで、今ある幸せを感じられなくなる。
幸福とは“慣れ”との戦いでもある。慣れが積み重なれば、どんな幸福も色あせてしまう。だからこそ、人は常に“感じ取る力”を磨き続けなければならない。
◾️人間関係のバランスが壊れる瞬間
お金や権力を持つことが悪いわけではない。
問題は「量」ではなく「バランス」だ。人間は社会的な生き物であり、常に周囲との比較の中で自分の位置を認識している。心理学者アドラーが言うように、人は“優越性の追求”によって生きている。だがその優越が極端になると、他者とのつながりを失う。
過剰な権力や富を得た人が孤独に陥るのは、まさにその構造だ。
「自分を利用しなければ人が寄ってこない」と感じ始めた瞬間、人間関係は取引に変わる。金や地位を失った途端、人が離れていく。
だからこそ、人間は“得た瞬間”よりも“維持すること”に苦しむ。
◾️歴史が証明する「得すぎた人の悲劇」
歴史を見れば、この構造は繰り返されている。
古代ローマの皇帝ネロは絶対的な権力を手に入れ、富と快楽の限りを尽くしたが、最後は自ら命を絶った。
日本でも戦国大名・織田信長がその典型だ。天下統一目前にして孤立し、明智光秀の謀反に倒れた。権力が極まると、敵よりも“味方の心”を保つことが難しくなる。
近代では、経営者や政治家が莫大な富を築いた後にスキャンダルや崩壊を迎える例も多い。権力やお金が人を狂わせるというより、「それを得ても幸せになれる心の器が育っていない」ことこそが根本の原因だ。
◾️「足るを知る」は、逃げではなく哲学
古代中国の老子は「知足者富(足るを知る者は富む)」と言った。これは決して「欲を捨てよ」という禁欲ではない。むしろ、「自分にとってちょうどいい量を見極める力」を意味している。
現代心理学で言えば、これは「メタ認知」や「自己統制力」に近い。自分の欲求や衝動を外側から俯瞰できる人ほど、長期的に幸福度が高いという研究もある。
つまり、本当の賢さとは「得る前に足るを知ること」だ。得てから悟るのは、代償が大きい。
手に入れて失ってから学ぶより、手に入れる前に理解しておくほうが、心はずっと軽い。それは逃げではなく、成熟だ。
◾️器の大きさが、受け取る量を決める
人間の器は、“どれだけ多くを受け取っても心を壊さない力”とも言える。
器が小さいうちに大金や地位を得てしまえば、心がその重さに耐えられない。だが器を育てた人には、自然と必要な量が巡ってくる。
これはスピリチュアルでも運でもなく、心理学的な「自己一致(self congruence)」の話だ。自分の価値観と現実の行動が一致している人は、過度なストレスを感じにくい。だから結果としてバランスの取れた人生を歩める。
だからこそ“心の筋肉”を育てる努力こそが、真の意味での成功準備なんだ。焦らず、少しずつ、自分の器に見合う経験を積み重ねていけばいい。
◾️得ない自由を選ぶという智慧
「やろうと思えばできるけど、あえてやらない」この境地に達した人は、もはや自由だ。
お金も権力も“道具”として使うことができ、支配されない。それは、禁欲でも清貧でもない。
人間として成熟した「選択の自由」だ。結局、幸せとは“量”ではなく“自由度”だ。
どれだけ得ても不安な人もいれば、少しのもので満ち足りる人もいる。その差は、外の世界ではなく、自分の内側にある。
さて、今日もそんな大きな真理を少しだけ思い出して、感情や欲望に引きずられずに過ごそう。社会の流れや他人の評価に惑わされず、自分の心の声とバランスを取りながら生きていこう。そうすれば、自分も、そして自分の周りの大切な人たちも守れる。
愛してる。ありがとう。それを噛み締めよう。同じ空の下で、それぞれが今日も頑張っている。今日も素敵な一日を。バイバイ。
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