おはよう。人工甘味料を使ったゼロ飲料は、砂糖入り飲料を減らすための選択肢にはなる。ただし、長期的な健康効果が確立した「健康飲料」ではなく、水の代わりに積極的に増やす必要があるものでもない。現時点での基本方針は、水や甘味料を加えていないお茶を普段の飲み物にし、砂糖入りを減らすために必要ならゼロを活用することだ。
体重や血糖、肝機能が気になって、甘い飲み物をゼロに変えている人にとって、「人工甘味料は危険」「むしろ太る」という話は気になる。一方、「カロリーがないのだから、いくら飲んでも大丈夫」という説明にも、立ち止まって考えたいところがある。
この問題は、安心か危険かの二択では整理できない。甘味料の種類、量、比較する飲み物、調べた期間によって、答えが変わるからだ。実際、砂糖入り飲料との比較で体重へのメリットが示される一方、水などとの比較で代謝への懸念を報告した研究もあり、結果は一方向にそろっていない。
今回は、WHOの勧告、食品安全機関の再評価、人を対象にした比較試験まで戻って、何が分かっていて、何がまだ分からないのかを整理する。中心に扱うのは、砂糖の代わりに甘味料を使った清涼飲料や食品だ。
情報確認日:2026年9月5日。一般向けの情報整理であり、個別の診断や治療の指示ではない。
最初の判断軸は「何の代わりに飲むのか」
ゼロ飲料を評価するとき、最初に確認したいのは「何と比べているのか」だ。
砂糖入り飲料をゼロに置き換える場合は、糖分とカロリーを減らせる。その置き換えを調べた比較試験では、平均すると小さな体重減少などが認められている。つまり、甘い飲み物をやめられない人にとって、ゼロが現実的な改善策になる場面はある。
もともと飲んでいる水をゼロに変える場合は、減らせる砂糖がない。砂糖から置き換えた試験のメリットを、そのまま当てはめることはできない。米国糖尿病学会の2026年の診療指針も、糖尿病のある人とそのリスクがある人には、ほかの飲み物より水を優先するよう勧めている。
すでに飲んでいるゼロを水に変える場合は、甘味料の摂取を減らせる。ただし、それだけで必ず体重や血糖が改善する、とまでは言えない。後で紹介する2026年の比較試験では、ゼロ飲料を日常的に飲んでいた糖尿病のある人が水に変えても、血糖管理の改善は確認されなかった。
「砂糖入りよりカロリーを抑えやすい」と「水より健康に良い」は、まったく別の話だ。この違いを押さえるだけで、見出しが正反対に見える研究も、かなり読み解きやすくなる。
「カロリーゼロ」「糖類ゼロ」「人工甘味料」は同じ意味ではない
まず、商品の「ゼロ」は、何がゼロなのかを読む必要がある。日本の表示では、飲料100ml当たりのエネルギーが5kcal未満なら、ゼロカロリーと表示できる。糖質や糖類も、100ml当たり0.5g未満でゼロ表示ができるため、数字として完全なゼロとは限らない。
ただし、これは「ゼロ表示は信用できない」という意味ではない。基準に基づく表示であり、少量含まれる可能性を理解して読む、ということだ。「糖質0g」と「糖質0.2g」の表示差だけで、健康上の優劣を大きく判断するのも適切ではない。
また、糖類は糖質の一部であり、糖類ゼロは糖質ゼロやカロリーゼロを意味しない。例えば、糖類ゼロのお菓子でも、ほかの糖質を含む商品はある。「ゼロ」の文字だけではなく、栄養成分表示を一緒に確認したい。
甘味料にも違いがある。スクラロース、アセスルファムK、アスパルテームなどは、少量で強い甘味を出す高甘味度甘味料だ。植物由来のステビアの甘味成分も、この高甘味度甘味料の仲間に入る。一方、エリスリトールやキシリトールは糖アルコールであり、同じ物質群ではない。
なお、この記事で「甘くない飲み物」「無糖を基本に」と言うときは、甘味料を加えていない水やお茶などを指す。商品表示の「無糖」だけでは、甘味料を使っていないとは限らないので、原材料名も見ておこう。
WHOは「人工甘味料は毒だから禁止」と言ったのではない
WHOが2023年5月に出したのは、非糖質系甘味料、英語ではNSSと呼ばれる甘味料を、体重管理や生活習慣病の予防のために使うことを勧めない、という条件付きの勧告だ。これは単に「大量摂取だけに注意」という勧告ではなく、健康づくりの手段としての使用そのものに慎重な立場を示している。
背景には、長期的な体脂肪減少などの利益が十分に確認できなかったことと、糖尿病や心血管病などとの関連を報告した観察研究がある。ただし、その関連には、もともとの健康状態や生活習慣による影響が入り得る。WHO自身もこの不確実性を認めているため、「原因が確定したから禁止」という判断ではない。
さらに重要なのは、この勧告は、個々の甘味料の毒性評価や、安全な摂取量の基準を置き換えるものではないという点だ。「食品添加物として、どの条件・量なら安全に使えるか」と、「体重管理や病気の予防のために勧めるべきか」は、違う問いなのである。
対象範囲にも注意が必要だ。この勧告は、すでに糖尿病がある人の治療を目的としたものではなく、その人たちは対象外とされている。ただし、対象外だから積極的に勧められているわけではない。また、糖尿病予備群というだけで、この除外に当てはまるわけでもない。
つまり、「WHOがゼロを勧めていないから、砂糖入りに戻したほうがいい」という読み方は違う。甘味料を使わずに糖分を減らす方法もある、ということまで含めて受け止めたい。
砂糖入りからゼロへの置き換えには、体重面のメリットがある
2022年の『JAMA Network Open』に掲載されたメタ解析は、17の無作為化比較試験、成人1,733人のデータをまとめたものだ。対象は主に、過体重や肥満があり、糖尿病のリスクがある人、または糖尿病のある人だった。砂糖入り飲料を低・ゼロカロリーの甘味飲料に置き換えた比較では、体重は平均約1.06kg少なくなっていた。
ここでいう無作為化比較試験とは、参加者をランダムに分けて、異なる飲み物などの影響を比べる研究だ。この解析では、試験期間の中央値は12週間だった。したがって、「置き換えによる小さな減量効果」は支持されるが、それだけで何十年先の病気の予防まで証明したわけではない。
さらに2025年に発表されたSWEET試験では、減量後の食生活に甘味料などを含む食品・飲料を取り入れた群が、取り入れない群より、1年時点で平均1.6kg多く減量を維持していた。WHOの2023年の勧告後にも、体重管理への一定の有用性を示す研究は出ている。
ただし、SWEET試験はゼロサイダーだけを調べたものではない。複数の高甘味度甘味料、糖アルコールなどを含む食品の使い方を調べており、成人の約4割は最後まで完了していない。個々の甘味料の効果や、長期的な安全性を、この試験だけで確定することはできない。
ここから導けるのは、ゼロには「砂糖を減らすための道具」としての価値があるということだ。「飲むだけで痩せる成分が入っている」という話ではない。
2026年の研究まで見ると、水との比較は単純ではない
一方で、「砂糖を減らす効果」とは別に、甘味料そのものが代謝へどう作用するかを調べた研究もある。
2026年6月に発表されたWangらのレビューと新たなメタ解析は、水などのカロリーを含まない対照との比較に注目し、空腹時インスリンやHbA1cなどに不利な影響がある可能性を報告した。研究機関の説明では、21の無作為化比較試験をまとめている。少なくとも、「気になる結果はすべて観察研究だから、因果関係は考えなくていい」と片づけることはできない。
ただし、これで結論が一つに決まったわけでもない。2026年2月号の『Diabetes Care』に掲載されたSODAS試験は、日常的に人工甘味料入り飲料を飲んでいた2型糖尿病の成人181人を、同じ飲料を続ける群と、水へ置き換える群に分けて24週間追跡した。
この試験では、水へ置き換えた群に血糖管理の改善は認められず、HbA1cの変化は、むしろ水群のほうが平均0.29ポイント高かった。ただし、これはすでにゼロ飲料を飲んでいた特定の糖尿病集団の結果であり、「水よりゼロが健康に良い」「水を飲むと糖尿病が悪化する」という一般論にはできない。
同じ人間の比較試験でも、対象者、甘味料の種類、飲み方、期間が違えば、結果はそろわない。 統計的な差が出ることと、日常生活で病気をどの程度増減させるかも、同じではない。
現時点で、「ゼロを飲めば必ず血糖が悪くなる」とも、「代謝への作用は一切ない」とも言い切れない。水を基本にする方針は妥当だが、それを「誰でも水に変えればHbA1cが下がる」という約束に変えてはいけない。
血糖と腸内細菌――「カロリーがない」と「体に作用しない」は別
甘味料の話では、飲んだ直後の血糖と、しばらく摂取した後の糖の処理能力が混同されやすい。砂糖と同じ量の糖分を取らないことは、体内で一切の反応が起きないことを意味しない。
2022年の『Cell』に掲載された研究では、健康な成人120人を対象に、サッカリン、スクラロース、アスパルテーム、ステビアを2週間摂取してもらった。許容一日摂取量を下回る量でも、甘味料によって腸内細菌や代謝物の変化が見られ、サッカリンとスクラロースでは糖への反応に不利な変化が報告された。反応には個人差もあった。
これは、「甘味料は生理的に完全に無関係なものではない」と考える根拠になる。ただし、少人数・短期間の研究であり、そこで見られた変化が、一般の人の長期的な糖尿病発症にどの程度つながるのかまでは分からない。
また、腸内細菌の構成が変わったことと、健康を損なったことは同義ではない。SWEET試験でも腸内細菌の変化が調べられているが、菌の種類の増減だけを見て、すべてを「腸内環境が破壊される」「腸に良い」と単純化することはできない。
ここは、過度に怖がる必要も、見なかったことにする必要もない。体への作用があり得ることを認めながら、長期的な意味を調べている段階だと受け止めたい。
「脳をだますから必ず太る」は、研究の結論を超えている
2025年の『Nature Metabolism』には、成人75人がスクラロース入り飲料、砂糖入り飲料、水を飲んだときの反応を比較した研究がある。スクラロースは砂糖と比べて、食欲に関わる視床下部の血流や空腹感を高める反応を示した。
ところが、ここでも比較相手が重要になる。スクラロースと水の比較では、脳の血流に違いが見られた一方、本人が感じる空腹感には差がなかった。これは摂取後の短時間の反応を調べた試験であり、長期的な食べ過ぎや体重増加を直接証明したものではない。
したがって、「甘いのにカロリーがないと、脳が混乱して必ず太る」という説明は飛躍している。一方、「食欲や脳の反応には何も影響しない」と言うのも正確ではない。
脳の画像やホルモンの変化は、仕組みを理解するために大切だ。ただ、それを、そのまま将来の体重や病気の判定へ置き換えないようにしたい。
発がん性の話――アスパルテームの「可能性」と実際のリスク
発がん性の話題で、まず区別したいのは「人工甘味料全体」と「アスパルテームという一つの物質」だ。
2023年7月、国際がん研究機関IARCは、アスパルテームを「ヒトに対して発がん性がある可能性がある」というグループ2Bに分類した。人での証拠は限定的であり、肝細胞がんなどに関する知見が評価された。
この分類は、発がん性についてどの程度の証拠があるかを示すもので、普段の摂取量で何%がんになるかを示す数字ではない。同時に評価したFAO・WHO合同食品添加物専門家会議JECFAは、アスパルテームの許容一日摂取量を、体重1kg当たり40mgまでとする従来の評価を維持した。
つまり、「発がん性の可能性を評価すること」と「実際の摂取量を踏まえて健康リスクを評価すること」は、役割が違う。片方だけを抜き出して、「飲めばがんになる」「完全に問題が解消した」と言うのは、どちらも言い過ぎだ。
そして、このアスパルテームの分類を、そのままスクラロースやアセスルファムKへ広げることもできない。まず、その商品に何が入っているかを確認する必要がある。
アセスルファムKとスクラロースは、最近も再評価されている
食品添加物としての安全性評価は、昔の認可だけで止まっているわけではない。
欧州食品安全機関EFSAは、アセスルファムKを2025年に再評価し、許容一日摂取量を体重1kg当たり15mgとした。評価した使用状況や摂取量について、安全性の懸念はないという結論を示している。
スクラロースについても、EFSAは2026年2月に再評価した。現在認められている用途では引き続き安全に使用できるとし、許容一日摂取量は体重1kg当たり15mgのまま維持している。
ただし、スクラロースには、長時間・高温での加熱について残る不確実性がある。EFSAは、焼き菓子などへの使用拡大について安全性を確認できず、家庭での焼く・揚げるといった調理にも同じ不確実性があるとしている。冷たいゼロ飲料を飲む話と、スクラロースを高温調理に使う話は分けたい。
この点について、ドイツ連邦リスク評価研究所BfRも2026年に、高温調理へスクラロースを使わないよう勧める見解を改めて示している。ゼロ飲料の議論を、そのまま甘味料を使ったお菓子作りへ広げないほうがよい。
公的な安全性評価は大切な根拠だ。しかし、「認められた用途・量で安全に使える」という評価と、「健康のために積極的に取るべき」という推奨は、やはり別なのである。
心血管病や認知機能との「関連」は、どう受け止めるか
長期間の健康影響については、観察研究も重要な情報源になる。2022年の『BMJ』に掲載された、約10万人を追跡した研究では、人工甘味料の摂取と心血管病との関連が報告された。
認知機能についても、大規模な追跡研究で、一部の甘味料の摂取量と認知機能の低下との関連が報告されている。ただし、これも甘味料が原因だと証明した研究ではなく、「ゼロ飲料を飲むと認知症になる」という結論にはできない。
観察研究では、例えば「健康状態が気になるようになったからゼロを選ぶ」という順序があり得る。これを十分に区別できないと、「ゼロを飲む人に病気が多い」という関係だけが残る。こうした問題を逆因果といい、WHOも評価上の重要な不確実性として扱っている。
ただし、「逆因果があり得る」という説明は、「悪影響がないと証明された」という意味でもない。研究者はさまざまな要因を調整しているし、調整後も関連が残る研究があるからこそ、比較試験や仕組みの研究が必要になる。
観察研究を因果関係の確定として扱わない。同時に、観察研究だから無意味だと捨てない。 この両方が大切だと思う。
エリスリトールやキシリトールも「天然だから安心」とは決められない
エリスリトールやキシリトールは糖アルコールであり、スクラロースなどとは別に考える必要がある。WHOの2023年のNSS勧告でも、糖アルコールは対象外だ。ただし、対象外だから安全性や健康効果が保証されている、という意味ではない。
2023年のエリスリトール研究では、血中濃度が高い人で心血管イベントのリスクが高いという関連が報告され、血小板や血栓形成に関する実験も行われた。一方、エリスリトールは体内でも作られるため、血中濃度をそのまま食品からの摂取量とみなすことはできない。
2026年8月には、キシリトールの血中濃度と心血管イベントとの関連を調べた、17,710人の観察研究も欧州心臓病学会から紹介された。こちらは学会発表段階の情報であり、摂取を割り付けた比較試験ではない。「キシリトール入りの商品を取った結果、病気が増えた」と直接証明したものではない点に注意したい。
それとは別に、量によっておなかが緩くなることは、より直接的な注意点だ。EFSAはエリスリトールについて、下痢などを防ぐ観点から、体重1kg当たり1日0.5gの許容一日摂取量を設定している。この数字を「心血管リスクも完全に解決した境界」と読むことはできない。
また、植物由来のステビアも、WHOのNSS勧告には含まれる。「人工だから危険」「天然だから健康」という分け方ではなく、物質ごとの性質、量、使い方を見ることが必要だ。
肥満・脂肪肝・糖尿病が気になる人は、何を優先するべきか
ここで、実際の生活へ戻ろう。
肥満や糖尿病のリスクがあり、砂糖入り飲料をよく飲んでいる人にとっては、まずその糖分を減らすことに意味がある。米国糖尿病学会の2026年の指針は、水を優先しつつ、非栄養性甘味料を、糖分とカロリーを減らすために適度な量で、短期的に砂糖入り商品の代わりとして使うことはできるとしている。
WHOと米国糖尿病学会の推奨は、完全に同じではない。WHOは体重管理・疾病予防の手段としての使用に慎重であり、糖尿病の診療指針は、個々の食生活で砂糖を減らすための選択肢を残している。目的と対象が違う部分を理解したうえで、どちらか一方だけを「科学の最終結論」としないことが大切だ。
代謝の問題を伴う脂肪肝、MASLDの診療指針でも、砂糖入り飲料を避けることや、食事全体の質を改善することが勧められている。過体重や肥満のある成人では、持続的な減量が肝脂肪などの改善に重要であり、飲み物の「ゼロ」だけに注目して治療全体を考えることはできない。
ゼロを選ぶことは、食生活を見直す一部分にはなる。しかし、食べる量、食事の質、身体活動、必要な治療や経過観察の代わりにはならない。脂肪肝や血糖の改善を目指すなら、飲料の選択だけではなく、全体を医師や管理栄養士と確認したい。
逆に、人工甘味料が不安だからという理由で、砂糖入りや果汁飲料を無制限に増やすのも、解決にはならない。糖尿病の指針は、果汁飲料も含めた糖を含む飲料の見直しを勧めている。
「毎日何本までなら安全?」に、共通の数字を出せない理由
許容一日摂取量、ADIとは、通常、一生涯にわたって毎日摂取しても、健康への悪影響がないと考えられる量を、体重当たりで示したものだ。安全性のデータや安全係数を踏まえて設定されており、「この量まで積極的に取るべき」という目標値ではない。
例えば、EFSAが設定しているスクラロースの体重1kg当たり15mgを、体重60kgの人に当てはめると、1日900mgとなる。ただし、これは飲料の量ではなく、スクラロースそのものの量だ。
商品の原材料欄に甘味料名が書かれていても、その配合量まで分からなければ、ボトルの本数へ正確に換算できない。飲み物以外の食品から取る分もあるため、「ゼロならどの商品でも毎日何本まで」という共通の上限を作ることはできない。実際、今回確認した三ツ矢サイダーZEROの公式商品情報でも、甘味料名は分かるが、その配合量は示されていない。
もう一つ大事なのは、ADIの範囲内という説明だけで、長期的な体重管理や代謝についての疑問がすべて解決するわけではないことだ。WHOの勧告が評価した研究にも、ADI内の摂取を扱ったものが含まれている。
だから、本数を無理に決めて安心するよりも、**「何を減らすために使っているか」「いつの間にか量が増えていないか」**を確認するほうが、生活の中では役に立つ。
甘味料以外にも、見落としたくない注意点がある
糖類ゼロのお菓子は、飲料とは別に見る。 糖類ゼロでも、ほかの糖質を含む商品はある。飲料をゼロにした感覚のまま、お菓子まで自由に増やせると考えず、1個当たりのエネルギーや成分を確認したい。
砂糖ゼロでも、酸による歯への影響は残る。 酸性のゼロ炭酸飲料を長時間かけて少しずつ飲むと、歯が酸に触れる時間が長くなる。砂糖を減らすことと、酸による歯の表面の損傷を防ぐことは別の問題だ。
フェニルケトン尿症のある人は、アスパルテームに特別な注意が必要になる。 一般の人向けの安全性の説明だけでは判断できず、フェニルアラニンの摂取制限に沿って管理する必要がある。
低血糖への対処に、ゼロ飲料は使えない。 インスリンなどで治療中に低血糖が起きたときには、必要なブドウ糖などを補う必要がある。「甘い味がするから大丈夫」とゼロを選ばず、医療者から指示された対処方法に従おう。
子どもや妊娠中の食生活についても、成人の減量試験をそのまま当てはめないほうがよい。WHOの勧告にはこれらの人たちも含まれるが、直接の研究は限られており、「健康のためにゼロ商品を増やす」と勧める根拠にはならない。
この分野の研究を読むときに、確認しておきたいこと
論文の結論を見るときは、「何を飲んだ人と比べたか」「対象は健康な人か、糖尿病のある人か」「何週間・何年間調べたか」を確認したい。血糖や体重の変化を調べたのか、実際の病気の発症を調べたのかも、分けて読む必要がある。
メタ解析という名前だけで、すべての疑問が解決するわけでもない。集めた試験の違いが大きければ、その平均を、特定の商品や一人の生活にそのまま当てはめることは難しい。研究資金や利益相反も大切な確認点だが、それだけで採用・不採用を決めず、方法や限界と合わせて見たい。
本稿は、公的機関の評価、診療指針、主要な査読研究を中心に整理したもので、全研究を網羅した系統的レビューではない。2026年6月のWangらのレビューは、公開抄録と研究機関の発表で確認した範囲で扱っており、有料本文にある解析の詳細まで独立に検証したものではない。また、2026年8月のキシリトールの情報は、学会発表段階の資料として区別している。
「安全という研究だけ」「危険という研究だけ」を並べるのではなく、反対方向の結果も含めて、判断を更新していくことが必要だ。
現時点での方針――ゼロを責めず、ゼロにも頼りきらない
以上を踏まえると、普段の選び方は、次の三つにまとめられる。
- 普段の飲み物は、水や甘味料を加えていないお茶を基本にする。 すでにそれで過ごせている人が、健康のためにゼロを飲み始める必要はない。
- 砂糖入りを減らすためなら、ゼロを置き換えの選択肢にする。 「追加で飲む」のではなく、「砂糖入りを減らせているか」を見る。
- ゼロを健康食品として増やさず、無糖で済む機会も増やす。 病気の治療中や検査値が気になる場合は、食生活全体と経過を医療者と確認する。
実践するなら、まず1週間、飲んだ商品の種類と量を見てみる方法がある。砂糖入りから減らせた分はどれくらいか。のどが渇いたときまで、何となくゼロを開けていないか。「ゼロだから」と、お菓子や食事が増えていないか。自分の使い方が見えると、次に変えるところも決めやすくなる。
目標は、ゼロ飲料を完璧に排除することではなく、食生活全体を無理なく良くすることだ。 ただし、ゼロを増やすこと自体を健康目標にはしない。砂糖入りへの置き換えで得られるメリットと、甘味料について残る不確実性を、両方持ったまま選んでいけばいい。
「ゼロは毒だから、飲んでいる人は間違っている」と決めつける必要はない。「認可されているから、健康のためにいくらでも飲める」と言う必要もない。
大切なのは、不安を大きくすることではなく、自分の選択を少し確かなものにすることだと思う。何を飲むかだけではなく、何の代わりに、どれくらい、どんな目的で飲むのか。その視点があれば、強い言葉に振り回されず、今日の一本を選べる。
今日も、自分と大切な人のこれからを思いながら、できることを一つずつ。愛と感謝を胸に、進んでいこう。バイバイ、またね。
参考文献・出典
本記事では、WHO、EFSA、米国糖尿病学会の指針や、主要な査読研究を確認した。以下は記事の判断の中心に使用した資料である。ほとんどが英語なので、気になるものはブラウザの翻訳機能やAI翻訳を使いながら読んでみてほしい。
- 世界保健機関(WHO, 2023)|非糖質系甘味料の使用に関するガイドライン
WHO公式ガイドライン - WHO・IARC・JECFA(2023)|アスパルテームの発がん性とリスク評価
WHO公式発表 - 欧州食品安全機関(EFSA, 2025)|アセスルファムKの再評価
EFSA公式資料 - 欧州食品安全機関(EFSA, 2026)|スクラロースの再評価
EFSA公式資料 - 米国糖尿病学会(ADA, 2026)/Diabetes Care|健康行動と食生活に関する診療指針
Diabetes Care掲載ページ - EASL・EASD・EASO(2024)|代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)診療ガイドライン
Diabetologia掲載論文 - McGlynnら(2022)/JAMA Network Open|砂糖入り飲料を低・ゼロカロリー飲料へ置き換えた場合のメタ解析
JAMA Network Open掲載論文 - SWEET試験(2025)/Nature Metabolism|甘味料を含む食生活と体重管理・腸内細菌
Nature Metabolism掲載論文 - SODAS試験(2026)/Diabetes Care|人工甘味料入り飲料を水へ置き換えた場合の血糖管理
PubMed掲載ページ - Suezら(2022)/Cell|非栄養性甘味料、腸内細菌、血糖反応に関する研究
Cell掲載論文 - Nature Metabolism(2025)|スクラロース・砂糖・水と食欲、脳反応の比較研究
Nature Metabolism掲載論文 - Debrasら(2022)/BMJ|人工甘味料摂取と心血管疾患リスクの前向きコホート研究
BMJ掲載論文
- ✍️人工甘味料・ゼロ飲料は体に悪い?WHOと最新研究で整理する健康リスクと選び方【2026年版】

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