日々のことば(ブログ)

✍️今の道を“選び直す”という自律的な意思決定

おはよう。今日は、キャリアコンサルティング技能士の論述試験の日。論述は試験ではあるけれど、毎日こうして文章を書いている自分にとっては、どこか日常の延長でもある。いつも通り、目の前の相談者の人生に向き合うつもりで、自分の言葉で書いてこようと思う。

今日は、その試験にもつながる「キャリアの選択」について書きたい。転職する。起業する。新しい世界に飛び込む。そういう選択は、たしかに分かりやすく大きなチャレンジだ。でも一方で、今の仕事を辞めないこと。今の場所をもう一度選び直すこと。これもまた、ものすごく大きなキャリア選択だと思う。キャリコンの現場では、実は、これは相当大事な視点なので、これをしっかり今日の記事で伝えたい。


辞めることだけが、前に進むことではない

キャリアの話になると、どうしても「次に行くこと」「新しい道に挑戦すること」に光が当たりやすい。今の仕事を辞めて転職する。独立する。起業する。別の分野へ進む。もちろん、それは大きな決断だし、勇気ある選択だ。自分の可能性を信じて、新しい世界に踏み出すことは、本当に尊い。

ただ、そこで忘れたくないのは、「辞めない」という選択も、決して後ろ向きではないということだ。辞めなかったから挑戦できなかった。今の仕事を続けるから諦めた。そう単純に見てしまうのは、少しもったいない。

一度すべての選択肢を広げてみる。転職した場合、起業した場合、今の職場に残った場合、働き方を変えた場合。家族への影響、お金のこと、時間のこと、自分の能力、やりがい、将来のリスク、心の余裕。そういうものを全部テーブルの上に並べる。そのうえで、今の道をもう一度選ぶのなら、それは「変われなかった」のではなく、「自分の意思で選び直した」ということだと思う。


同じ仕事でも、理由が変われば、違う道になる

昨日までと同じ職場に行く。昨日までと同じ仕事をする。周りから見れば、何も変わっていないように見えるかもしれない。でも、自分の中で「なぜここで働くのか」が変われば、それはもう同じ道ではない。

若い頃に選んだ仕事には、親の言葉、周囲の期待、安定への思い、その時の価値観、当時の自分の見える範囲があったと思う。それはそれで大切な意思決定だ。ただ、年齢を重ね、経験を重ね、家族を持ち、現実を知り、自分の強みも弱さも少しずつ見えてきた今、もう一度同じ仕事を選ぶとしたら、それは若い頃の選択とは意味が違う。

今なら分かることがある。今なら見えるリスクがある。今なら守りたいものがある。今なら、自分の働き方をもう少し立体的に考えられる。だからこそ、同じ仕事を続けるとしても、それは惰性ではなく、自律的な意思決定になりうる。

「できないから残る」のではない。「他にも道はある。できることもある。でも今は、この道を選ぶ」。この感覚は、かなり大きい。今の道を選び直した人は、実はもう新しい道を歩き始めているのかもしれない。


キャリア相談は、背中を押すだけではない

キャリアコンサルティングというと、「転職したい人の背中を押す仕事」と思われることがある。もちろん、本人が新しい道を選ぶなら、その挑戦を支えることは大切だ。でも、本人の意思を、後押しすることがキャリア支援ではない。

大切なのは、本人が本当に納得して選べるようにすることだと思う。転職したい。辞めたい。起業したい。挑戦したい。そういう気持ちを否定せず、まず大切に聴く。そのうえで、なぜそう思うのか、何を求めているのか、何が苦しいのか、何を大切にしたいのかを一緒に見つめていく。

自己理解を深める。仕事理解を深める。労働市場を知る。必要な能力を知る。家計や生活の現実を見る。家族や周囲との関係を整理する。制度や条件を調べる。自分の自己効力感や自己肯定感も含めて、自分が本当に進める状態なのかを見ていく。

その結果、新しい道に進むなら、それは素晴らしい選択だ。反対に、今の仕事を再評価して残るなら、それもまた素晴らしい選択だ。どちらが正解という話ではない。大切なのは、どちらの道も同じ土俵に並べて、本人が自分の意思で選んだかどうかだ。


自己理解とは、「自分は何を守りたいのか」を知ること

キャリアを考えるとき、自己理解という言葉が出てくる。自分の強み、弱み、興味、能力、経験、価値観。どれも大切だ。でも最近、自己理解の中心にあるのは、「自分は何を守りたいのか」を知ることなのかもしれないと思う。

お金を大切にしたい人もいる。やりがいを大切にしたい人もいる。自由な時間を大切にしたい人もいる。夢への挑戦、社会への貢献、家族との時間、安定、成長、評価、安心感。人によって、働くうえで譲れないものは違う。

ただ、その先にあるものを考えると、結局は「心の余裕」なのではないかと思う。お金がほしいのも、時間がほしいのも、やりがいがほしいのも、突き詰めれば、心に余白を持って生きたいからかもしれない。心に余裕があるから、子どもの笑顔に気づける。家族の何気ない会話を味わえる。目の前の小さな幸せを、ちゃんと幸せだと感じられる。

もちろん、心の余裕を持てる条件は人によって違う。収入の安定が余裕につながる人もいれば、時間の自由が必要な人もいる。愛情、所属、承認といった欲求が満たされることも、人が安心して生きていくうえで大切な土台になる。挑戦している実感がないと苦しくなる人もいるし、人に必要とされることが生きる力になる人もいる。だからこそ、自分にとっての「心の余裕」は何によって守られるのかを考えることは、とても大切な自己理解だと思う。


仕事を選ぶことは、生き方を選ぶこと

キャリア選択というと、「どの仕事を選ぶか」「辞めるか、辞めないか」「挑戦するか、安定を取るか」という話になりやすい。でも本当は、その奥にある「どんな状態で生きていたいのか」まで見つめる必要があるのだと思う。

心の余裕を失ってまで手に入れたいものなのか。反対に、今の場所にいることで守れているものは何なのか。新しい道を選ぶことで広がる可能性は何か。今の道を選び直すことで深まるものは何か。そうやって一つ一つ見ていくと、キャリアは単なる職業選択ではなく、生き方そのものにつながっていく。

今の時代は、バウンダリーレスキャリア、プロティアンキャリアと言われるように、会社や肩書きだけで人生が決まる時代ではない。自分の価値観を軸にしながら、必要な力を身につけ、労働市場の中で自分の価値を高め、時期に応じてキャリアを再形成していく時代だ。

だから、一度選んだ道が一生続くと決めつけなくてもいい。今の選択は、今の自分が現実と向き合ったうえで出した答えだ。また人生の過渡期が来たら、その時の自分で見直せばいい。選び直せばいい。大切なのは、流されるのではなく、自分の意思で選ぶことだ。


そこまで考えて選んだ道は、どちらも新しい道になる

新しい職場に行く。起業する。働き方を変える。そういう道を選んだ人は、きっとたくさん悩み、調べ、覚悟して進んでいる。それは本当に尊い挑戦だ。心から応援したい。

そして同じように、今の仕事を、辞めない、いや、表現をかえる、「もう一度選び直した」人も、やはり尊い挑戦をしている。一度すべてを疑い、すべてを広げ、すべてを比べ、自己理解と仕事理解を深めたうえで、「やはり今はここで働く」と決める。その選択には、諦めではなく、静かな覚悟がある。

辞めることだけがキャリアではない。残ることだけが正解でもない。新しい道に進むことも、今の道を選び直すことも、どちらも自分の人生を大切にするための選択だ。

大切なのは、その道が誰かに言われた道なのか、なんとなく流された道なのか、それとも自分で向き合い、自分で考え、自分で選んだ道なのか。その違いだと思う。

そこまでやって選んだ道なら、たとえ昨日と同じ職場に向かう朝でも、きっと見える景色は少し変わっているはずだ。同じ仕事でも、同じ自分ではない。選び直した時点で、その道はもう新しい道になっている。僕は、そう思う。


今日も、自分の言葉で向き合ってくる

今日は論述試験。相談者の言葉を大切にしながら、その人が本当に納得できる選択に近づけるように、落ち着いて書いてこようと思う。

キャリアは、派手な転身だけではない。人生の節目で、自分の価値観を見つめ直し、仕事を見つめ直し、大切な人との関係を見つめ直し、今の自分としてもう一度選ぶこと。その積み重ねもまた、立派なキャリア形成だと思う。

新しい道へ進む人も、今の道を選び直す人も、どちらもすごい。どちらも尊い。どちらも、自分の人生を生きようとしている人だ。

焦らず、比べすぎず、自分にとって何が大切なのかを見つめながら、今日の一歩を選んでいきたい。

愛と感謝を胸に。
またね。さぁ今日も全力で生きよう。


松永 修 – MUSICおさむ

松永 修|MUSICおさむ|国家公務員|キャリアコンサルタント|作家・メディアクリエイター/音楽クリエイター(シンガーソングライター)|IT・AI設計・コンサルタント

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